法人設立後に日本政策金融公庫の創業融資を使う前の確認(新規開業・スタートアップ支援資金の限度額・返済期間・必要書類)
会社を設立したあと、日本政策金融公庫(国民生活事業)の創業融資を申し込む前に確認することを整理します。対象者、融資限度額、返済期間、担保・保証人の扱い、資本金の払込みが対象外である点、法人で申し込むときの書類を、公庫の案内にもとづいて説明します。
日本政策金融公庫の案内にもとづく法人を設立した直後は、事業の実績が乏しく、資金を借りにくい時期です。日本政策金融公庫(以下、公庫)の国民生活事業には、新たに事業を始める人向けの「新規開業・スタートアップ支援資金」があります。
この記事は、申し込む前に確認する点に絞ります。資本金の払込みや設立費用の考え方は資本金の払込み手順、個人事業の借入の引継ぎは融資の引継ぎの記事にあります。審査の結果は、公庫の判断によります。
新規開業・スタートアップ支援資金の概要
公庫の案内では、概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使いみち | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要な設備資金と運転資金 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間(設備資金) | 20年以内(うち据置期間5年以内) |
| 返済期間(運転資金) | 10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 利率 | 基準利率。女性、35歳未満または55歳以上の人などは特別利率。実際の率は公庫の金利ページで確認 |
廃業歴等があり、創業に再チャレンジする人は、運転資金が15年以内になるなど、一部の条件が異なります。
利率は、使いみち、返済期間、担保の有無などで変わります。この記事では率の数字を載せていません。申し込む時点の率を、公庫のページで確認してください。
対象になる人と対象外の資金
対象は、新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内の人です。ただし、適正な事業計画をつくっていて、計画を実行する能力が十分あると認められる人に限られます。事業計画の内容は、創業計画書で確認されます。
つまり、資本金は自分で用意し、設立後の法人が、店舗や機械の設備資金、仕入や人件費などの運転資金を借りる流れになります。
個人事業主が法人成りした場合に、この融資の対象になるかは、今回確認した公庫のページに記載を見つけられていません。法人成りの場合は、申込み前に公庫の支店へ確認してください。
担保・保証人と自己資金
創業期の人(新たに事業を始める人、または事業開始後に税務申告を2期終えていない人)は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。利率も、原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引き下げられます。
経営者保証免除特例制度との併用ができると、公庫の案内にあります。この特例の要件は、今回確認できていません。
自己資金について、公庫のFAQは、重要な要素のひとつだが、創業計画全体がしっかりしているかのほうが重要としています。数値の基準は示されていません。
公庫の調査では、創業資金総額に占める自己資金の割合は、平均で2割程度とされています。この割合は融資の要件ではなく、調査の平均です。
法人で申し込むときの書類と窓口
公庫のFAQは、個人と法人で融資申込みに大きな違いは特にないとし、法人で申し込むときは、履歴事項全部証明書または登記簿謄本が必要になるくらいだとしています。
- 創業計画書:新たに事業を始める人が必要とする書類です。
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本:法人の場合に必要です。
- 見積書:設備資金を申し込む場合に必要です。
- 窓口:法人の場合は、法人登記上の本店所在地を管轄する支店です。
融資が決まるまでの期間は、平均的には3週間程度とされています。条件によっては時間がかかる場合があります。設立登記の完了後に申し込むため、資金が必要になる日から逆算して、余裕を持って動いてください。
申し込む前に確認する順番
- 資本金を自分で用意できているかを確認する(資本金の払込みは融資の対象外)。
- 設立登記を終え、履歴事項全部証明書を取れる状態にする。
- 設備資金と運転資金に分け、必要額と返済期間の見通しを創業計画書にまとめる。
- 法人成りの場合や、保証人・特例の扱いは、本店所在地を管轄する公庫の支店に事前に相談する。
借入が資金繰りと返済にどう影響するかは、事業ごとに異なります。個別の判断は、公庫の窓口や税理士に相談してください。
まとめ
- 新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額は7,200万円。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で、いずれも据置期間は5年以内。
- 対象は、新たに事業を始める人、または事業開始後おおむね7年以内で、適正な事業計画をつくっている人。
- 資本金の払込みにあてる資金は対象外。融資を受けるのは、設立登記後の法人。
- 創業期の人は、原則として無担保・無保証人で利用できる。
- 法人で申し込むときは、履歴事項全部証明書と創業計画書などが必要。窓口は本店所在地を管轄する支店。
公式一次情報
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(対象者、融資限度額、返済期間、担保・保証人の欄を掲載。2026-10-08確認)
- 日本政策金融公庫「創業融資のご案内」(創業期の無担保・無保証人、利率の引下げを掲載。2026-10-08確認)
- 日本政策金融公庫「創業にあたってのよくあるご質問」(資本金の払込み資金は対象外、法人での申込み、窓口、審査期間、自己資金の調査結果を掲載。2026-10-08確認)
- 日本政策金融公庫「基準利率」(利率の掲載ページ。この記事では率を載せていません)
よくある質問
- 融資限度額と返済期間はどうなっていますか?
- 新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額は7,200万円です。返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で、どちらも据置期間は5年以内です(公庫の案内)。
- 資本金の払込みに使うお金を借りられますか?
- 借りられません。公庫のFAQは、資本金の払込みにあてる資金は融資の対象外としています。設立登記後の法人が融資の対象です。
- 担保や保証人は必要ですか?
- 創業期の人(新たに事業を始める人、または事業開始後に税務申告を2期終えていない人)は、原則として無担保・無保証人で利用できます。
- 法人で申し込むと、個人と何が違いますか?
- 公庫のFAQでは、大きな違いは特にないとされています。法人では履歴事項全部証明書または登記簿謄本が必要で、窓口は法人登記上の本店所在地を管轄する支店です。
- 自己資金はいくら必要ですか?
- 公庫は数値の基準を示していません。創業計画全体が重要とされています。公庫の調査では、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で2割程度です。