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法人成り後に経営者保証を外す・付けない条件|ガイドライン3要件と信用保証の保証料率上乗せ

法人成りしても経営者保証は自動では外れません。経営者保証ガイドラインの3要件、信用保証協会の「保証人なし」制度の要件と上乗せ保証料率(0.25%・0.45%)を、中小企業庁の公表資料で整理します。

経営者保証
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

経営者保証とは、会社が金融機関から借りるときに、経営者個人が連帯保証人になることです。中小企業庁の説明では、会社が返せなくなった場合は経営者個人が代わりに返済を求められます。

法人にしたから保証が外れるのではなく、会社と個人のお金が分かれていて、会社だけで返せると金融機関が判断したときに、保証を付けない・外す余地が出ます。判断の物差しが経営者保証ガイドラインの3要件で、法人成り後の最初の数年は、この3要件のうち会社と個人の区分けをどう作るかが焦点になります。

経営者保証ガイドラインの3要件

経営者保証に関するガイドラインは、全国銀行協会と日本商工会議所が策定し、2014年2月1日に適用が始まりました。中小企業庁は、法的な拘束力はないが関係者が自発的に尊重し遵守することが期待される自主的なルールで、保証を解除するかどうかの最終的な判断は金融機関にゆだねられる、と説明しています。

要件中小企業庁の説明
① 法人と経営者の分離資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている
② 財務基盤の強化財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
③ 経営の透明性金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている

3要件は将来にわたって満たす体制が整っていることが必要で、全部または一部を満たせば、保証なしで借りられる可能性、すでに提供した保証を見直せる可能性があるとされます。金融機関は充足の度合いに応じて、保証を求めないか、代わりの手法を検討します。

代わりの手法の例が停止条件付保証契約です。財務情報の定期提出や他の金融機関への担保提供の制限といった特約に違反しない限り、保証の効力が生じない契約をいいます。

法人成り直後は決算がない:制度が見る期間

法人成り直後は、会社の決算書がまだありません。信用保証の「保証人なし」制度では、この点が要件に織り込まれています。

中小企業庁の資料では、設立後最初の決算が未了の法人は要件1〜3が除かれ、設立後最初の2期分の決算が未了の法人は要件3が除かれます。

設立初年度は、決算の数字よりも、設立後に会社と個人のお金をどう動かしているかが記録として残る期間です。この期間の動きが、2期目以降の決算書に貸付金や報酬の数字として現れます。

信用保証協会の「保証人なし」制度(要件と保証料率)

中小企業庁は2024年3月15日から、法人である中小企業者が一定の要件を満たしたとき、保証料率の上乗せを条件に、保証人による保証を提供しないことを選べる信用保証制度を始めました。ガイドラインの3要件をすべて満たしていなくても、保証料の上乗せで代えられる点が特徴です。

項目内容(中小企業庁の公表)
要件1過去2年間(設立から2年未満ならその期間)、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出している
要件2直近の決算で代表者への貸付金等がなく、代表者への役員報酬・賞与・配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていない
要件3直近の決算で債務超過でない、または直近2期の決算で減価償却前経常利益が連続して赤字でない
誓約要件1・2を継続して満たすことを誓約する書面を提出する
保証人不要
対象の保証無担保保険(限度額8,000万円)に係る保証など

上乗せされる保証料率は、要件3の2つの条件の両方を満たせば信用保証協会所定の保証料率に0.25%、どちらか一方を満たす場合、または設立後2事業年度の決算がない場合は0.45%です。

国の補助制度もあり、2027年3月31日までの保証申込が対象です。上乗せ分の一部を国が補助し、補助率は申込日が2026年4月1日から2027年3月31日までの分で0.05%と、年度ごとに下がっています。

この制度の要件2は、法人成り後の自分のお金の動かし方そのものを見ています。利用できるかは金融機関または最寄りの信用保証協会に問い合わせる、と同庁は案内しています。

要件②で見られる動き:貸付金・報酬・配当

保証人なし制度の要件2が見るのは、会社から代表者への貸付金等と、代表者への報酬・賞与・配当等の額です。同庁の注記では、貸付金以外の金銭債権(仮払金・未収入金など)も含み、少額のものや事業の実施に必要なものは除かれます。

法人成り後に起きやすいのは、会社のお金を個人の支払いに回して、そのまま精算されないケースです。決算書上は代表者への貸付金や仮払金として残ります。

  • 会社のお金を個人の生活費に使い、精算せず残した
  • 個人事業のときの未払金や税金を、会社の口座から払った
  • 役員報酬が、会社の利益や規模と見合わない水準になっている

役員報酬の決め方は役員報酬の決め方、貸付金に利息を付ける考え方は役員貸付金の認定利息、逆に個人から会社へ入れたお金は役員借入金で整理しています。いずれも税務上の取扱いであり、金融機関が何を相当と見るかは別の話なので、取引金融機関に確認してください。

借入の前に決めておく順序

個人事業のときの借入を法人へどう引き継ぐかは法人成りで個人名義の借入金はどうなる、設立後に公庫の創業融資を使う場合は創業融資を使う前の確認で扱っています。ここでは、保証を外したい人が先に決める順序だけを示します。

  1. 会社の口座と個人の口座を分け、経費は会社の口座・カードで払う
  2. 個人から会社へ、会社から個人へ動かしたお金を、そのつど記録する(精算か、報酬か、借入か)
  3. 決算書や試算表を、金融機関の求めに応じて出せる状態にしておく(決算書の種類と見方)
  4. 借入の申込前に、金融機関へ「保証なしの可能性」と「保証人なし制度の対象になるか」を聞く
注意:外せるかは金融機関の判断:3要件も保証人なし制度も、満たしたからといって必ず保証が外れるわけではありません。ガイドラインは法的拘束力のない自主的なルールで、最終判断は金融機関です。個別の融資の可否や条件は、取引先の金融機関・信用保証協会にご確認ください。

まとめ

  • 経営者保証は、法人成りで自動では外れない。判断の物差しは、ガイドラインの3要件
  • 3要件は、法人と経営者の分離、法人のみでの返済力、財務情報の適時開示
  • 信用保証の保証人なし制度は、保証料率の上乗せ(0.25%または0.45%)で保証人を不要にできる
  • 代表者への貸付金等と報酬・配当が、要件として見られる。精算されない仮払金が残らないようにする

公式一次情報

よくある質問

法人成りすれば経営者保証は不要になりますか?
自動では不要になりません。中小企業庁は、ガイドラインの3要件の全部または一部を満たせば保証なしで借りられる、または保証を見直せる可能性があるとしていますが、最終的な判断は金融機関です。
保証人なしで借りるための保証料率の上乗せはいくらですか?
信用保証協会所定の保証料率に、要件を両方満たすときは0.25%、一方だけを満たすとき、または設立後2事業年度の決算がないときは0.45%が上乗せされます。
設立したばかりで決算書がなくても使えますか?
中小企業庁の資料では、設立後最初の決算が未了の法人は要件1〜3が除かれる扱いです。設立後2事業年度の決算がない場合の上乗せは0.45%です。実際の取扱いは金融機関・信用保証協会に確認してください。
会社から代表者への貸付金があると使えませんか?
要件は直近の決算で代表者への貸付金等がないことです。仮払金・未収入金も含みますが、少額のものや事業の実施に必要なものは除かれると注記されています。
すでに付けた保証を後から外せますか?
ガイドラインは、すでに提供している経営者保証を見直せる可能性も想定しています。要件の充足度合いは金融機関が見るため、決算書や試算表を示して相談します。
本記事について。税理士監修前の概説です。2026年10月9日時点の中小企業庁の公表資料にもとづく一般的な整理で、個別の融資の可否・保証料率・審査結果を保証するものではありません。取引金融機関・信用保証協会へご確認ください。