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法人の所得税額控除:預金利息・配当の源泉所得税を法人税から引く(別表六(一))

法人の預金の利息や配当は、受け取る時点で所得税と復興特別所得税が差し引かれます。この税額を法人税から引く仕組みを、税率・計算例・別表六(一)・控除しきれない場合の還付まで、条文と国税庁の資料で整理します。

法人税
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人が預金の利息や株式の配当を受け取るとき、支払う側が先に所得税と復興特別所得税を差し引いて納めています(源泉徴収)。この税額は、法人税の申告で法人税額から引けます。引ききれない分は還付されます。

所得税額控除は、確定申告書に別表六(一)を添付した場合に限って受けられるため、申告書の作成時に書き忘れないことが要点です。法人化した直後の事業用口座にも少額の利息がつくので、決算のたびに確認しておきたい項目です。

控除の対象になる収入と税率

法人税法68条1項は、法人が所得税法174条に定める利子等・配当等などの支払を受けるとき、その支払について課される所得税の額を、その事業年度の法人税額から控除すると定めています。復興特別所得税の額も、所得税の額とみなして同じ扱いです。

所得税法174条は、内国法人に課す所得税の対象として、預貯金や公社債の利子等、配当等、定期積金の給付補塡金、匿名組合の利益の分配などを並べています。税率は同法175条で、利子等と給付補塡金などが15%、配当等と利益の分配が20%です。

収入の種類所得税の税率復興特別所得税を加えた率
預貯金・公社債の利子等15%15.315%
配当等(上場株式等以外の配当など)20%20.42%

復興特別所得税は、源泉徴収される所得税額に2.1%を掛けた額です。国税庁は、令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率を1.1%に引き下げ、源泉徴収すべき所得税の額の1%相当の防衛特別所得税を併せて源泉徴収するとしています。

合計の割合は2.1%のままなので、本稿の15.315%と20.42%の計算は、令和9年以後も同じ結果になります。実際の源泉徴収額は、支払先の通知書や預金通帳の記載で確認してください。

預金利息にかかる都道府県民税の利子割は、平成28年1月1日以後、法人に支払われる利子等には課されなくなりました(東京都主税局の案内)。法人の預金利息で引かれるのは、国税の所得税等だけです。

預金利息の計算例

事業用の普通預金に利息が100,000円ついた例で考えます。源泉徴収される税額は、所得税が15,000円、復興特別所得税が315円(15,000円の2.1%)で、合計15,315円です。口座に入る金額は84,685円になります。

項目金額
利息(税引前)100,000円
源泉徴収された所得税等(15.315%)15,315円
口座への入金額84,685円

決算では、受取利息は税引前の100,000円を収益に入れます。別表六(一)で15,315円を控除の対象として書けば、その事業年度の法人税額から15,315円が引かれます。

会計帳簿の勘定科目の付け方は会社ごとに違い、税引前で受取利息を立てて、差し引かれた税額を別の科目で預かる形が一般的です。実際の処理は顧問の税理士に確認してください。

配当の場合も同じ考え方です。上場株式等以外の配当が100,000円なら、源泉徴収は20.42%の20,420円で、口座に入るのは79,580円です。

配当は所有期間に対応する部分だけ

利子等の税額は、原則として全額が控除の対象です。一方、株式の配当や集団投資信託の収益の分配など一部の収入は、元本を所有していた期間に対応する部分の税額だけが対象になります。国税庁のタックスアンサーは、次のようなものを挙げています。

  • 法人から受ける剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配(みなし配当を除く)など
  • 集団投資信託(合同運用信託・公社債投資信託などを除く)の収益の分配
  • 国外投資信託の配当等、国外株式等の配当等
  • 一定の短期公社債以外の割引債の償還差益

所有期間に対応する部分の計算には、銘柄ごと・所有期間の月数ごとに計算する原則的な方法と、元本を区分して計算する簡便法があり、事業年度ごとにどちらかを選べます。決算期の直前に株式を買って配当を受けた場合などは、全額が控除できるとは限りません。

配当そのものを課税所得に入れるかどうかは別の論点で、持株割合による益金不算入があります。詳しくは法人の受取配当等の益金不算入を参照してください。

申告の手続きと別表六(一)

法人税法68条4項は、確定申告書、修正申告書または更正請求書に、控除を受ける金額とその計算の明細を記載した書類を添付した場合に限り、この控除を適用すると定めています。控除される金額は、その書類に記載した金額が上限です。国税庁のタックスアンサーも、確定申告書等で控除を受けようとする金額とその明細(別表六(一))の記載が必要としています。

別表六(一)は、国税庁の手引きでは次の順で書く明細書とされています。

  1. 中段の配当等・集団投資信託の収益の分配などの所有期間対応分の計算と、下段の「その他に係る控除を受ける所得税額の明細」(7以下)を先に書く
  2. そのあと上段の各欄(1から6)を書く

収入金額の欄には、所得税等を引く前の金額を書きます。利子等は、事業年度の終わりまでに利払期が来ているものが対象です。税引後の入金額で書くと、控除額と合わなくなります。

集団投資信託の分配から差し引かれた分配時調整外国税相当額は、別表六(一)ではなく別表六(五の二)を使う別の控除です。決算全体の流れは法人の決算と申告を、中小法人の税率は法人税の税率を確認してください。

引ききれないときの還付と、控除しない場合

控除する所得税等の額がその事業年度の法人税額より多いときは、引ききれなかった金額が還付されます。赤字で法人税額がゼロの事業年度でも、源泉徴収された税額は還付の対象です。開業したばかりで赤字が続く法人こそ、書き忘れると取り戻せる税金を逃す場面です。

所得税額控除を受けた所得税等の額は、損金(経費)には入りません。逆に、控除を受けなかった場合は、その所得税等の額が事業年度の損金の額に入ります。どちらで処理するかは、申告の前に税理士へ確認すると安心です。

事業用の口座の選び方は法人の事業用口座で整理しています。

まとめ

  • 預金や公社債の利子は所得税15%(復興特別所得税込みで15.315%)、配当等は20%(同20.42%)が源泉徴収される。
  • この税額は法人税額から控除でき、控除しきれない分は還付される。
  • 控除は、確定申告書に別表六(一)を添付した場合に限られる。収入金額は税引前で書く。
  • 配当などは所有期間に対応する部分だけが対象。利子は原則全額。
  • 控除を受けた税額は損金に入らない。受けなければ損金に入る。

公式一次情報

よくある質問

法人の預金利息から引かれた税金は、取り戻せますか?
法人税の申告で、所得税額控除として法人税額から引けます。引ききれない分は還付されます。控除を受けるには別表六(一)の添付が必要です。
利息が100,000円のとき、いくら源泉徴収されますか?
預金利息なら所得税15,000円と復興特別所得税315円の合計15,315円です。口座に入るのは84,685円になります。
赤字でも還付されますか?
控除する所得税等の額が法人税額より多い場合、引ききれなかった金額は還付されます。法人税額がゼロでも、別表六(一)で申告すれば対象になります。
別表六(一)を書き忘れたらどうなりますか?
法人税法68条4項により、明細の添付がないと控除は適用されません。修正申告書や更正請求書でも同じ要件が置かれているため、気づいた時点で税理士に相談してください。
控除を受けず、経費にしてもよいですか?
控除を受けなかった場合、その所得税等の額は損金に入ります。どちらを選ぶかは事業年度ごとの法人税額と控除額で変わるため、申告前に税理士へ確認してください。
本記事について。専門家監修前の概説です。2026年10月12日時点の条文と国税庁の公開情報にもとづく一般的な案内で、個別の税務判断に代わるものではありません。実際の判定は、所轄の税務署または税理士へご確認ください。