外注先への支払調書|対象の報酬・5万円基準・提出期限
法人になると、フリーランスや士業への報酬を支払う側になります。デザイン料、原稿料、講演料、税理士などへの報酬は、源泉徴収の対象になり、年間の支払が基準を超えると「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を翌年1月31日までに税務署へ出します。
法定調書個人事業主のときは、外注先に報酬を払っても支払調書を意識することは少なかったかもしれません。所得税法第225条第1項は、居住者や内国法人に所得税法第204条第1項に掲げる報酬などを国内で支払う者に、支払調書の提出を求めています。
法人は、原稿料やデザイン料を払う相手が個人でも法人でも対象になる場合があります。この記事では、どの支払が対象で、いくらから提出が必要で、いつまでに出すのかを順に確認します。
対象になる報酬
国税庁のタックスアンサー(No.7431)は、支払調書を提出する人を、外交員報酬や税理士報酬など、所得税法第204条第1項の各号などに規定された報酬、料金、契約金、賞金を支払う人としています。第204条第1項には、次のような報酬が並んでいます。
| 号 | 報酬の例 |
|---|---|
| 第1号 | 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み、デザインの報酬、講演料 |
| 第2号 | 弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、建築士などの業務に関する報酬 |
| 第4号 | プロ野球選手、モデル、外交員、集金人などの報酬 |
| 第5号 | 芸能の出演、演出、企画の報酬 |
| 第6号 | ホステス等の報酬 |
| 第7号 | 役務の提供を約して一時に取得する契約金 |
| 第8号 | 広告宣伝のための賞金など |
この表は条文に例示された主な報酬です。政令で定める類似の報酬もあるため、個別の業務委託が対象かどうかは、国税庁の資料や税務署で確認してください。外注費が給与に当たるか業務委託に当たるかの線引きは、外注費と給与の区分の記事で確認できます。
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提出が必要になる金額の基準
タックスアンサーNo.7431(令和8年4月1日現在の法令等)は、提出範囲を次のように示しています。いずれも、同一人に対するその年中の支払金額の合計額で判断します。
| 支払の種類 | 提出が必要になる金額 |
|---|---|
| 弁護士・税理士等への報酬、作家や画家への原稿料・画料、講演料 | 年間合計 5万円を超えるもの |
| プロ野球の選手などへの報酬・契約金 | 年間合計 5万円を超えるもの |
| 外交員、集金人、電力量計の検針人、プロボクサー等の報酬・料金、ホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金 | 年間合計 50万円を超えるもの |
| 馬主に支払う競馬の賞金 | 1回の支払が75万円を超えるものを受けた人への、その年中のすべての支払 |
金額は消費税・地方消費税を含めて判断します。消費税等の額が明確に区分されている場合は、その額を含めないで判断しても差し支えないとされています。
デザイン料がどの区分に入るかは、手引で個別に確認してください。法定調書全体の基準は法定調書合計表の記事にまとめています。
法人に払う場合も出すのか
タックスアンサーNo.7431は、法人(人格のない社団等を含む)に支払われる報酬・料金等で源泉徴収の対象にならないものや、支払金額が源泉徴収の限度額以下で源泉徴収をしていないものでも、支払調書の提出範囲に該当する場合は提出が必要としています。
つまり、源泉徴収をしたかどうかと、支払調書を出すかどうかは別の判断です。外注先が会社でも、提出範囲に当たれば調書を出します。
なお、非居住者に国内での人的役務の提供の対価を払った場合は、この調書ではなく「非居住者に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書」を出します。年間の支払が50万円以下なら提出は要りません。
提出期限と電子提出の義務
支払調書は、支払者の所轄税務署へ、支払が確定した日の属する年の翌年1月31日までに、e-Taxまたは書面で出します。「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」と一緒に提出します。
支払調書には、支払を受ける人のマイナンバーまたは法人番号を記載します。受給者に写しを渡すときは、マイナンバーを記載して交付することはできません。
電子提出の義務は、枚数で決まります。タックスアンサーNo.7455によると、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきだった枚数が30枚以上のものは、e-Tax等で出す必要があります。
令和8年12月31日以前に提出するものは100枚以上で、令和9年1月に出す調書から30枚以上に変わります。国税庁は、令和7年1月に出す報酬の支払調書が30枚以上なら、令和9年1月分はe-Tax等で出す例を示しています。
源泉徴収の計算
第204条第1項の報酬を払うときは、報酬から源泉所得税を差し引いて納めます。国税庁のタックスアンサー(No.2795)は、1回の支払が100万円以下なら支払金額の10.21%、100万円を超える場合は超えた部分の20.42%に102,100円を加えた額としています。計算の例と受け取る側の扱いはフリーランスの源泉徴収の記事、納付が遅れたときの加算税は源泉所得税の納付遅れの記事で扱っています。
源泉徴収が必要な報酬の範囲と計算は、会社が外注先に払う報酬の源泉徴収で説明しています。
出さなかったときの罰則
所得税法第242条第5号は、第225条第1項に規定する調書を提出期限までに税務署長に提出せず、または偽りの記載をして提出した者に、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科すと定めています。提出漏れが見つかったときの扱いは個別の事情で変わるため、早めに所轄の税務署または税理士に相談してください。
公式一次情報
- 国税庁 タックスアンサー No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等(2026-10-16確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.7455 法定調書の提出枚数が30枚以上の場合のe-Tax等による提出義務(2026-10-16確認)
- 国税庁 タックスアンサー No.2795 報酬・料金等の源泉徴収(2026-10-16確認)
- e-Gov法令検索 所得税法(第204条・第225条・第242条)(2026-10-16確認)
まとめ
デザイン料、原稿料、講演料、士業への報酬など所得税法第204条第1項に掲げる報酬を払う法人は、同一人への年間合計が基準(原稿料・講演料・士業の報酬は5万円超)を超えると、支払調書を翌年1月31日までに出します。法人に払う場合も、提出範囲に当たれば出します。令和9年1月提出分から、前々年の提出枚数が30枚以上ならe-Taxなどでの提出が必要です。
次に知りたいことは、法定調書合計表、源泉所得税の預り金と納付、業務委託契約の引き継ぎの記事で確認できます。
よくある質問
- 外注先が法人でも支払調書を出しますか?
- 提出範囲に当たれば出します。国税庁のタックスアンサーNo.7431は、源泉徴収の対象にならない法人への報酬などでも、提出範囲に該当する場合は支払調書が必要としています。
- 原稿料や講演料は、いくらから支払調書が必要ですか?
- 同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるものです。消費税等が区分されていれば、その額を含めずに判断しても差し支えありません。
- 支払調書の提出期限はいつですか?
- 支払が確定した日の属する年の翌年1月31日までです。法定調書合計表と一緒に出します。
- 電子提出が必要になるのはどんなときですか?
- 調書の種類ごとに、前々年の提出枚数が30枚以上のときです。令和8年12月31日以前の提出は100枚以上で、令和9年1月提出分から30枚以上になります。
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