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給与から預かる税金・保険料の納付先と期限(4種類)

法人が給与を払うとき、従業員の給与から源泉所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料を差し引いて預かります。それぞれ誰に、いつまでに納めるのかを説明し、預り金の仕訳例も示します。

給与・社会保険
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

給与を払う法人は、手取りを支払うだけでなく、差し引いた税金や保険料を、期限までに国や自治体に納める役目を負います。差し引いた金額は会社のお金ではなく、一時的に預かっているものなので、帳簿では預り金として処理するのが一般的です。

納付先と期限は4つで別々で、源泉所得税は原則として翌月10日、社会保険料は翌月末日、雇用保険料は年度更新で納めます。住民税は市区町村ごとに案内が違うため、特別徴収の通知書で確認します。

4つの納付先と期限の一覧

預かるもの納める先原則の期限特例
源泉所得税国(税務署・金融機関)給与を払った月の翌月10日常時10人未満なら年2回(7月10日・翌年1月20日)
住民税(特別徴収)従業員が住む市区町村市区町村の案内による常時10人未満なら年2回(さいたま市の例:12月10日・翌年6月10日)
健康保険・厚生年金保険料日本年金機構(協会けんぽ)翌月末日なし
雇用保険料労働局(労働保険)年度更新(6月1日から7月10日)なし

源泉所得税:翌月10日と納期の特例

国税庁のタックスアンサー No.2505によると、源泉徴収した所得税と復興特別所得税は、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めます(所得税法183条1項)。

給与を受ける人が常時10人未満の事務所なら、税務署長の承認を受けて納期の特例を使えます(同法216条)。1月から6月までに預かった分は7月10日まで、7月から12月までの分は翌年1月20日までに、まとめて納められます。

特例の申請書を出して、却下の通知がなければ、提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされます。国税庁によると、申請書を提出した月の翌月に源泉徴収する分から特例の対象になります。

住民税:特別徴収と年2回の特例

会社が従業員の住民税を給与から差し引いて納める仕組みが特別徴収です。納付額と納付先は、毎年の通知書で市区町村から届きます。

給与を受ける人が常時10人未満の特別徴収義務者は、市区町村の承認を受けると、毎月の納入を年2回にまとめられます(地方税法321条の5の2)。さいたま市の案内では、6月分から11月分が12月10日、12月分から翌年5月分が翌年6月10日です。期限は自治体ごとに案内されるため、事業所のある市区町村と従業員が住む市区町村の案内を確認してください。

社会保険料:翌月末日と控除の時期

健康保険料は、事業主が被保険者の分もあわせて、翌月末日までに納めます(健康保険法164条1項)。保険料は事業主と被保険者が2分の1ずつ負担し(同法161条1項)、事業主は被保険者の負担分を報酬から控除できます(同法167条1項)。

控除できるのは、前月の標準報酬月額にかかる保険料です。例えば10月分の保険料は、11月に払う給与から差し引き、11月30日までに納めます。

退職の月は例外があり、被保険者でなくなった場合は、前月分とその月分をあわせて控除できます。日本年金機構のFAQは、月末に退職した場合は退職した月の分までの保険料を納める必要があるとしています。

雇用保険料:年度更新で納める

雇用保険料のうち被保険者の負担分は、賃金から控除できます(労働保険徴収法32条1項)。控除したときは、控除額を被保険者に知らせます。

会社は毎月の納付ではなく、年に一度の年度更新で、前年度分の確定保険料と当年度分の概算保険料をまとめて申告し、納めます。東京労働局の案内では、令和8年度の年度更新は6月1日から7月10日までです。申請の流れは労働保険の年度更新で整理しています。

預り金の仕訳例

従業員に給与を払うときに預かった分を預り金として処理する方法は、会計の実務で広く使われています。次の金額は説明用の仮の数字です。

項目金額
給与の総額300,000円
源泉所得税6,000円
住民税12,000円
社会保険料(本人負担分)45,000円
雇用保険料(本人負担分)1,800円
手取り(差引支給額)235,200円

給与を払う日は、借方に給与300,000円、貸方に普通預金235,200円と、預り金の各項目(合計64,800円)を立てます。納付する日に預り金を借方に、普通預金を貸方に入れて消します。

会社が負担する社会保険料と雇用保険料は、従業員の預り金とは別に法定福利費として計上します。会社負担分の金額の見方は法定福利費の会社負担額を参照してください。

毎月の源泉所得税の額の求め方は源泉徴収税額表(月額表)の見方で、納期の特例は源泉所得税の納期の特例でくわしく扱っています。

まとめ

  • 源泉所得税は原則として翌月10日。常時10人未満で承認を受ければ、年2回にまとめられる。
  • 住民税は従業員が住む市区町村へ納める。常時10人未満なら承認を受けて年2回にできる。
  • 健康保険・厚生年金保険料は翌月末日。控除できるのは前月分が原則で、退職月は例外がある。
  • 雇用保険料は毎月ではなく、年度更新で納める。
  • 預かった分は預り金に入れ、納付日に消す。会社負担分は法定福利費で別に計上する。

給与を全額払えなかった月や一部だけ払った月の源泉徴収は、給与が未払・一部未払のときの源泉徴収で整理しています。

源泉所得税を多く納めてしまったときの戻し方は、源泉所得税を納め過ぎたとき(還付請求と充当届出書)で確認できます。

公式一次情報

よくある質問

源泉所得税はいつまでに納めますか?
給与を支払った月の翌月10日までです。常時10人未満の事務所で納期の特例の承認を受けていれば、1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日までに納めます。
社会保険料の本人負担分は、いつの給与から引きますか?
前月分の保険料を当月の給与から控除するのが原則です。退職した月などは、前月分と当月分をあわせて控除できる場合があります。
雇用保険料は毎月納めるのですか?
毎月ではなく、年1回の年度更新で申告して納めます。令和8年度の年度更新期間は6月1日から7月10日です。
住民税の特別徴収も年2回にまとめられますか?
給与を受ける人が常時10人未満で、市区町村の承認を受ければ年2回にできます。さいたま市では12月10日と翌年6月10日が期限です。
預かった税金や保険料は、会社の経費になりますか?
従業員の負担分は、会社が預かって納めるだけのため、経費ではなく預り金です。会社負担分の社会保険料と雇用保険料は、会社の費用として法定福利費に計上します。
本記事について。専門家監修前の概説です。2026年10月13日時点の条文と公開情報にもとづく一般的な案内で、個別の税務・社会保険の判断に代わるものではありません。

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