従業員を雇う法人の会社負担額(法定福利費)を月給別に計算
従業員を雇うと、給料のほかに社会保険料などの会社負担が発生します。健康保険・厚生年金保険・子ども・子育て支援金・子ども・子育て拠出金・雇用保険・労災保険の6つを足すと、月給のおよそ15.7%です。令和8年度(東京の協会けんぽ、一般の事業)の料率で、月給別の金額を表にしました。
社会保険の制度会社が負担する社会保険料などは、まとめて「法定福利費」と呼ばれます。40歳未満の従業員1人なら、月給の約15.7%が給料に上乗せで会社の負担になります。月給20万円なら31,400円、30万円なら47,100円、50万円なら78,500円です。
この記事では、6つの負担の内訳と、前提にした条件、月給別の合計、40歳以上の場合の増え方を示します。
会社負担の6つの内訳と料率
会社が負担するのは次の6つです。健康保険・厚生年金保険・子ども・子育て支援金は、本人と会社が半分ずつ負担します。
子ども・子育て拠出金と労災保険は、会社が全額を負担します。雇用保険は、本人と会社で率が違います。
| 項目 | 料率(全体) | 会社の負担 | 会社負担率 |
|---|---|---|---|
| 健康保険(協会けんぽ・東京) | 9.85% | 折半 | 4.925% |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23% | 折半 | 0.115% |
| 厚生年金保険 | 18.3% | 折半 | 9.15% |
| 子ども・子育て拠出金 | 0.36% | 会社が全額 | 0.36% |
| 雇用保険(一般の事業) | 13.5/1,000 | 会社8.5/本人5 | 0.85% |
| 労災保険(その他の各種事業) | 3/1,000 | 会社が全額 | 0.3% |
| 合計 | 15.7% |
子ども・子育て支援金は、令和8年4月分(5月納付分)から保険料に上乗せされています。協会けんぽの令和8年度保険料額表には、健康保険料率とは別の列として載っています。
雇用保険は令和8年度に率が下がりました。一般の事業で、失業等給付等の率が本人・会社とも5/1,000、会社だけが負担する雇用保険二事業の率が3.5/1,000なので、会社は合計8.5/1,000です。令和7年度は会社負担が9/1,000でした。
労災保険の率は、事業の種類で変わります。令和8年度のリーフレットでは、通信業・出版業が2.5/1,000、卸売業・小売業・飲食店・宿泊業が3/1,000、金融業・保険業・不動産業が2.5/1,000、その他の各種事業が3/1,000、ビルメンテナンス業が6/1,000と示されています。この表では3/1,000で計算しました。
月給別の会社負担額の表
月給(標準報酬月額)が20万円・30万円・50万円の、40歳未満の従業員1人の会社負担額です。単位は円で、月額です。
| 項目 | 月給20万円 | 月給30万円 | 月給50万円 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 9,850 | 14,775 | 24,625 |
| 子ども・子育て支援金 | 230 | 345 | 575 |
| 厚生年金保険 | 18,300 | 27,450 | 45,750 |
| 子ども・子育て拠出金 | 720 | 1,080 | 1,800 |
| 雇用保険 | 1,700 | 2,550 | 4,250 |
| 労災保険 | 600 | 900 | 1,500 |
| 会社負担の合計 | 31,400 | 47,100 | 78,500 |
| 年額(12か月分) | 376,800 | 565,200 | 942,000 |
月給30万円の従業員を雇うと、会社は給料30万円のほかに毎月47,100円、年間で565,200円を負担します。人件費の見積もりでは、月給の1.157倍が目安です。
表の前提と、ずれる場合
- 協会けんぽの東京支部。健康保険料率は都道府県で違います。加入先が健康保険組合のときも率が違います。
- 通勤手当・残業代を含めた月ごとの報酬で等級が決まる。健康保険と厚生年金は「標準報酬月額」という区分に当てはめて計算します。表は、月給がそのまま標準報酬月額の区分に当たる金額を選びました。
- 雇用保険・労災保険・子ども・子育て拠出金は賃金の総額で見る。表では月給と同額としました。通勤手当は、雇用保険と労災保険の対象の賃金に含まれます。
- 労災保険は事業の種類で変わる。飲食店・小売業は3/1,000、ビルメンテナンス業は6/1,000などです。
標準報酬月額の決め方や、法人の健康保険料が都道府県でどれだけ違うかは、協会けんぽの都道府県差で扱っています。
40歳以上と賞与の扱い
従業員が40歳から64歳のときは、介護保険料が健康保険料に加わります。協会けんぽの令和8年度の介護保険料率は1.62%で、会社の負担は半分の0.81%です。月給30万円なら2,430円が増え、合計は49,530円になります。
賞与にも保険料がかかります。賞与額から1,000円未満を切り捨てた額(標準賞与額)に、同じ率をかけます。
標準賞与額の上限は、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金が年間573万円、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金が月間150万円です。賞与を30万円払うと、会社負担は15.7%の47,100円です(40歳未満)。
初めて雇うときの段取り
法人は、役員だけでも社会保険に加入します。従業員を雇うと、健康保険・厚生年金保険の資格取得届、雇用保険の手続き、労災保険の成立手続きが加わります。期限の目安は月別の手続きカレンダー、役員を含めた社会保険料の試算は社会保険料シミュレーターで確かめられます。
パートを雇うときの加入基準はパート・アルバイトの社会保険加入基準、雇用保険の手続きは法人成りの雇用保険の事業所番号にまとめています。
まとめ
- 令和8年度、東京の協会けんぽ・一般の事業・その他の各種事業で、40歳未満の会社負担は月給の15.7%。
- 月給20万円で31,400円、30万円で47,100円、50万円で78,500円(月額)。
- 内訳は、健康保険4.925%、子ども・子育て支援金0.115%、厚生年金保険9.15%、子ども・子育て拠出金0.36%、雇用保険0.85%、労災保険0.3%。
- 40歳以上は介護保険の0.81%が加わる。賞与にも同じ率でかかる。
- 都道府県・事業の種類・健保組合かどうかで率が変わるため、実際の金額は加入先の保険料額表で確かめる。
公式一次情報
- 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表(東京支部)」(健康保険料率9.85%、子ども・子育て支援金率0.23%、介護保険料率1.62%、厚生年金保険料率18.3%、子ども・子育て拠出金率0.36%と会社だけが負担すること、標準賞与額の上限。2026-10-12確認)
- 厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」(一般の事業は労働者負担5/1,000・事業主負担8.5/1,000。2026-10-12確認)
- 厚生労働省「令和8年度の労災保険率等について」(事業の種類ごとの労災保険率。その他の各種事業3/1,000。2026-10-12確認)
よくある質問
- 従業員を1人雇うと、会社の負担は給料のほかにいくらかかりますか?
- 令和8年度の東京の協会けんぽで、40歳未満・一般の事業・労災保険率3/1,000の場合、月給の約15.7%です。月給30万円なら月47,100円です。
- 法定福利費には何が含まれますか?
- 会社が負担する健康保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て支援金、子ども・子育て拠出金、雇用保険料、労災保険料です。40歳以上の従業員には介護保険料も加わります。
- 労災保険料は従業員も負担しますか?
- しません。労災保険料と子ども・子育て拠出金は、会社が全額を負担します。
- 賞与にも会社負担はかかりますか?
- かかります。1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に、月給と同じ率をかけます。上限があり、健康保険などは年間573万円、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金は月間150万円です。
- 雇用保険の会社負担は令和8年度に変わりましたか?
- 変わりました。一般の事業で、会社負担は令和7年度の9/1,000から令和8年度の8.5/1,000に下がりました。