廃業しても翌年に住民税の請求が来る理由|前年の所得に課税される仕組みと納期
廃業して収入がなくなっても、住民税の納付書は届きます。個人住民税は、1月1日を基準日として、前年の所得をもとに計算されるためです。地方税法の条文で、課税の基準日・計算のもとになる所得・納期・払えないときの減免を整理します。
e-Govで確認済み個人の住民税は、賦課期日(課税の基準日)が1月1日と決まっています(地方税法39条・318条)。所得割は前年の所得をもとに計算します(同法313条)。そのため、廃業した後の年でも、前の年に所得があれば住民税がかかります。
収入が途絶えた時期に請求が来るため、廃業前から納付の資金を残しておくことが大切です。どうしても払えないときの市町村の減免制度(同法323条)も、最後に整理します。
なぜ廃業の後に請求が来るのか
住民税の課税には、2つの決まりがあります。
| 決まり | 条文の内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 課税の基準日 | 個人の道府県民税・市町村民税の賦課期日は、その年度の初日の属する年の1月1日 | 地方税法39条、318条 |
| 所得割の計算のもと | 所得割の課税標準は、前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額 | 地方税法313条1項 |
つまり、ある年度の住民税は、1月1日の時点で決まる課税の対象者に、前の年の1年分の所得をもとに課されます。年の途中で廃業して事業をやめても、すでに終わった前年の所得は消えないため、請求は続きます。
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廃業した年・翌年・翌々年の住民税
2026年の途中で廃業した場合の例です。年度の呼び方は自治体の書き方で異なりますが、考え方は同じです。
| 課税される年度(6月から納付) | 計算のもとになる所得 | 廃業の影響 |
|---|---|---|
| 2026年度(2026年6月から) | 2025年の所得 | 2026年に廃業しても、2025年の所得は決まっているため、請求は来る |
| 2027年度(2027年6月から) | 2026年の所得(廃業した年の所得) | 廃業した年の1月から廃業日までの所得が対象になる。収入が減っていれば、住民税も少なくなる |
| 2028年度(2028年6月から) | 2027年の所得 | 事業収入がなければ、事業所得の部分はなくなる |
この表は、条文が定める「前年の所得」の考え方に当てはめた例です。実際の税額は、ほかの所得、所得控除、お住まいの市区町村の条例によって変わります。市区町村の窓口や納税通知書で確認してください。
廃業した年の確定申告で所得が決まる流れは、個人事業主の廃業にまとめています。個人の住民税の計算の基本は個人事業主の住民税で確認できます。
納期は6月・8月・10月・翌年1月が基本
個人事業主は、市町村から届く納税通知書で納める「普通徴収」が一般的です。地方税法320条は、普通徴収の個人の市町村民税の納期を、6月、8月、10月及び翌年1月中において市町村の条例で定めると規定しています。
| 項目 | 条文の内容 |
|---|---|
| 納期 | 6月、8月、10月及び1月中。具体的な日付は市町村の条例で決まる |
| 例外 | 市町村民税額が均等割額以下の場合は、6月中の1回 |
| 納期前の納付 | 到来した納期の分を納期前に納めることも認められる(地方税法321条) |
日付や期別の数は、市町村の条例で異なることがあります。届いた納税通知書の納期限を確認してください。
払えないときは市町村の減免
地方税法323条は、市町村長が、天災その他特別の事情がある場合に市町村民税の減免を必要と認める者、貧困により生活のため公私の扶助を受ける者、その他特別の事情がある者に限り、条例の定めるところにより減免できると規定しています。
減免の対象になるかどうかは、各市町村の条例と運用で決まります。廃業して収入が大きく減った場合でも、必ず減免されるわけではありません。早めに市町村の税務窓口に事情を伝えて、減免や分割納付の相談先を確認することをおすすめします。
国民健康保険料にも、事業をやめたときの減免の仕組みがあります。事業をやめて国保料を払えないときの減免も、あわせて確認してください。
廃業前にやっておくこと
- 翌年度の住民税のもとになる、前年の所得の概算を確認する(確定申告書の控えで確認できます)。
- 6月・8月・10月・翌年1月の4回で納める場合の、1回分の金額を見積もる。
- 所得税の予定納税があるときは、廃業後の減額の手続きを確認する(予定納税の減額申請)。
- 個人事業税は住民税とは別の税です。個人事業税の納付時期も確認する。
次に知りたいこと
個人事業主の住民税:所得割・均等割と納付時期
事業をやめたときの国保料の減免
廃業時に残った在庫の所得税:使う・贈る・安く売るとき
よくある質問
- 廃業して収入がないのに、なぜ住民税の請求が来るのですか?
- 個人の住民税は、1月1日を賦課期日とし、所得割は前年の所得をもとに計算されるためです(地方税法39条・313条・318条)。廃業の後でも、前年の所得への課税は続きます。
- 廃業した年の所得は、いつの住民税に反映されますか?
- 翌年度の住民税に反映されます。廃業した年の1月から廃業日までの所得が、翌年6月からの住民税のもとになります。
- 住民税の納期はいつですか?
- 普通徴収の場合、6月、8月、10月及び翌年1月中に、市町村の条例で定めた日が納期です(地方税法320条)。均等割額以下の場合は6月中の1回です。
- 廃業して払えないとき、住民税は減免されますか?
- 地方税法323条で、市町村長が条例に基づき減免できる場合があります。対象は、天災などの特別の事情がある人、生活のため公私の扶助を受ける人などです。実際の取り扱いは市町村の窓口で確認してください。
- 個人事業税と住民税は同じ税ですか?
- 別の税です。個人事業税は都道府県税で、住民税は市町村・都道府県に納めます。納付時期や計算のもとも異なります。
廃業のタイミングで手取りを比べる
年内に廃業する場合と年明けにする場合で、申告が1年分で済むか2年分になるか、手取りがどう変わるかを試算できます。
公式情報
- e-Gov法令検索「地方税法」(第39条 個人の道府県民税の賦課期日、第313条 所得割の課税標準、第318条 個人の市町村民税の賦課期日、第320条 普通徴収に係る個人の市町村民税の納期、第321条 納期前の納付、第323条 市町村民税の減免)

