法人の10万円・20万円・40万円・60万円の分かれ目:資産の買い物と修理の処理一覧
法人が備品を買ったときと、固定資産を修理したときに出てくる金額の基準を、1枚の表にまとめます。買った資産は10万円・20万円・40万円、修理代は20万円・60万円が分かれ目です。
法人税法人の経理で出てくる「10万円」「20万円」「40万円」「60万円」は、2つの別の判定に分かれます。資産を買ったときは取得価額が10万円未満・20万円未満・40万円未満(中小企業者の特例)かで、修理をしたときは1回の費用が20万円未満か、区分が明らかでない金額が60万円未満かで、その事業年度に全額を経費にできるかが決まります。
「買った資産」と「修理代」では金額の基準が別なので、まず何にかかった費用かを分けて、該当する表の行を見るのが出発点です。ここでは各基準を要約し、詳しい条件は詳細ガイドへ案内します。
資産を買ったとき:10万円・20万円・40万円
パソコンや備品など、買った資産の取得価額による処理です。令和8年4月1日以後に取得する資産では、中小企業者の特例の上限が、以前の30万円未満から40万円未満に上がっています。
| 取得価額 | 処理 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 事業の用に供した事業年度に損金経理で全額経費 | 通常1単位として取引される単位ごとに判定 |
| 20万円未満 | 一括償却資産として3年で均等に経費(選択) | 別表十六(八)で管理。月数は事業年度の月数 |
| 40万円未満 | 中小企業者の特例で全額経費(通常の償却も選べる) | 青色申告、従業員400人以下など。年間合計300万円まで |
| 40万円以上 | 通常の減価償却 | 耐用年数にわたって経費にする |
10万円未満と20万円未満の金額基準は令和8年度改正で変わっていません。条文の根拠、架空の計算例、消費税の経理方式による判定の違いは法人の少額減価償却資産と一括償却資産で扱っています。減価償却の仕組みは減価償却の基本を参照してください。
資産を修理したとき:20万円・60万円
すでに持っている固定資産を修理・改良したときは、取得価額ではなく、その修理・改良に要した費用の額で判定します。法人税基本通達7-8-3と7-8-4は、次の場合に修繕費として損金経理ができるとしています。
| 判定の対象 | 基準 | 処理 |
|---|---|---|
| 一の修理、改良等に要した費用の額 | 20万円に満たない(7-8-3) | 修繕費として損金経理ができる |
| その修理、改良等 | おおむね3年以内の周期で行われることが明らか(7-8-3) | 修繕費として損金経理ができる |
| 資本的支出か修繕費か明らかでない金額 | 60万円に満たない(7-8-4) | 修繕費として損金経理ができる |
| 資本的支出か修繕費か明らかでない金額 | その固定資産の前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下(7-8-4) | 修繕費として損金経理ができる |
修理の20万円と60万円の基準は、買った資産の10万円・20万円・40万円の基準とは別の判定で、資産の取得価額の区分には当てはまりません。20万円の基準は一の修理、改良等ごとの金額で、2事業年度にわたる場合は事業年度ごとの金額で見ます。避難階段の取付けのように価値を高める工事は、金額が小さくなくても資本的支出の判定が先に問題になります。
個人事業主の同じ論点は修繕費と資本的支出の違いで、国税庁のタックスアンサーにもとづいて整理しています。法人は法人税基本通達の条番号が根拠です。
迷いやすい場面の見分け方
架空の例で、どの表を見るかを確認します。実際の判定は、契約書や請求書の内容で変わります。
| 場面(架空) | 見る表 | 考え方 |
|---|---|---|
| 8万円の事務用椅子を新しく購入 | 買ったとき | 10万円未満。事業の用に供した事業年度に損金経理で全額経費 |
| 18万円のパソコンを5台購入 | 買ったとき | 20万円未満。一括償却資産で3年均等にするか、中小企業者の特例(40万円未満)を使えるかを検討 |
| 15万円のエアコン修理を1回依頼 | 修理したとき | 一の修理が20万円に満たない。修繕費として損金経理ができる |
| 機械の修理で、資本的支出か修繕費か明らかでない部分が45万円 | 修理したとき | 60万円に満たない。修繕費として損金経理ができる |
どちらの表でも、決算で経費にする処理をした(損金経理をした)ことが前提です。決算の全体の流れは法人の決算と申告、勘定科目の選び方は勘定科目の基本で扱っています。
まとめ
- 買った資産は、10万円未満(その事業年度に全額経費)、20万円未満(一括償却資産で3年均等)、40万円未満(中小企業者の特例、年300万円まで)で処理が分かれる。
- 修理代は、一の修理等が20万円に満たないか、おおむね3年以内の周期なら修繕費にできる。区分が明らかでない金額は60万円未満または前期末取得価額の約10%以下なら修繕費にできる。
- 買った資産の基準と修理代の基準は別の判定。何にかかった費用かを先に分ける。
公式一次情報
- 国税庁 法人税基本通達 第7章第8節 資本的支出と修繕費(7-8-3・7-8-4)(20万円に満たない・おおむね3年以内の周期・60万円に満たない・前期末取得価額のおおむね10%。2026-10-07確認)
- 法人税法施行令 第133条・第133条の2(10万円未満の損金経理、20万円未満の一括償却資産。2026-10-07確認)
- 国税庁 タックスアンサーNo.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(青色申告・年間300万円・月割。本文は令和7年4月1日現在。2026-10-07確認)
- 40万円未満・令和11年3月31日までの改正内容は、法人の少額減価償却資産と一括償却資産の出典欄(租税特別措置法67条の5、国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」)を参照。
よくある質問
- 法人で買った備品は、いくらまで全額経費になりますか?
- 取得価額が10万円未満なら、事業の用に供した事業年度に損金経理で全額経費にできます。中小企業者で要件を満たせば、令和8年4月1日以後の取得は40万円未満まで全額経費にでき、年間の合計は300万円までです。
- 20万円以上の修理代は、修繕費にできませんか?
- 20万円以上でも、周期がおおむね3年以内の修理や、区分が明らかでない金額が60万円未満または前期末取得価額のおおむね10%以下の場合は、修繕費として損金経理ができます。通常の維持管理にあたる部分も修繕費です。
- 買った資産の20万円と、修理の20万円は同じ基準ですか?
- 別の基準です。買った資産の20万円は取得価額による一括償却資産の区分で、修理の20万円は一の修理、改良等に要した費用の額による修繕費の判定です。
- 以前の「30万円未満」の特例は、今も使えますか?
- 令和8年4月1日以後に取得する資産からは、取得価額の上限が40万円未満になっています。改正前の取得分の扱いは、詳細ガイドと条文で確認してください。