ガイド

修繕費と資本的支出の違い|20万円未満・60万円未満・前年末取得価額の10%の判定

事業用の建物・機械・車などの修理代が、その年の経費(修繕費)になるのか、減価償却が必要な資本的支出になるのかを、国税庁タックスアンサーNo.1379とNo.2107にもとづいて整理します。20万円未満・60万円未満・前年末の取得価額の10%の基準と、架空条件の判定例つき。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

事業に使う資産の修理代は、通常の維持管理や修理なら、支出した年の必要経費になります。資産の使用可能期間を延ばしたり、価値を高めたりする部分は資本的支出とされ、減価償却で数年に分けて経費にします。

この記事は、修繕費と資本的支出の区別と、金額で修繕費にできる基準を整理します。減価償却の計算は個人事業主の減価償却、車の整備は車検費用と減価償却の関係で扱っています。

修繕費と資本的支出の違い

国税庁のタックスアンサーNo.1379は、貸付けや事業に使っている建物・機械装置・車両運搬具・器具備品などの修繕費で、通常の維持管理や修理のための支出は必要経費になると説明しています。

一般に修繕費と呼ばれる支出でも、資産の使用可能期間を延ばす部分や、資産の価値を高める部分は、資本的支出として区別されます。区別は、修繕や改良といった名目ではなく、実質で判定します。

区分内容経費にする時期
修繕費通常の維持管理・原状回復のための修理支出した年の必要経費
資本的支出使用可能期間を延ばす部分・価値を高める部分減価償却で各年に分けて経費

資本的支出になる例

No.1379は、次の支出は原則として資本的支出になると例示しています。

  • 建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の金額
  • 用途変更のための模様替えなど、改造・改装に直接要した金額
  • 機械の部分品を特に品質・性能の高いものに取り替えた場合の、通常の取替えの金額を超える部分

同じ修理の中に、元に戻す部分と価値を高める部分が混ざることがあります。その場合は、次の節の基準で、修繕費にできるかを順に見ていきます。

修繕費にできる金額の基準

No.1379によると、次のいずれかに当たる支出は、修繕費として所得金額を計算して確定申告をすれば、その年分の必要経費にできます。

基準内容
周期・金額おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理・改良などであるとき、または1つの修理・改良などの金額が20万円未満のとき
区分が明らかでない金額1つの修理・改良などの金額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでない金額が、60万円未満のとき、またはその資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下のとき

どちらにも当たらない場合は、資本的支出と修繕費の区分の特例(所得税基本通達37-14)により、資本的支出と修繕費に分けることが認められています。

「1つの修理・改良など」の金額で見る点に注意が必要です。20万円未満かどうかは、修理ごとの金額で判断します。

架空条件の判定例

以下は説明のための架空の条件です。実際の判定は、修理の内容と契約書・見積書の中身で変わります。

ケース金額判定の考え方
事務所のエアコンの修理(1回)18万円1つの修理が20万円未満のため、修繕費にできる
機械の修理で、修繕費か資本的支出か明らかでない部分があるその部分が45万円明らかでない金額が60万円未満のため、修繕費にできる
前年末の取得価額が1,000万円の機械の修理で、明らかでない部分があるその部分が80万円60万円以上だが、取得価額の10%相当額(100万円)以下のため、修繕費にできる
事務所に避難階段を新しく取り付けた100万円物理的に付け加えた部分のため、資本的支出になり減価償却する

資本的支出になったときの処理

国税庁のタックスアンサーNo.2107によると、平成19年4月1日以後に行った資本的支出は、原則として、その資産と種類・耐用年数が同じ減価償却資産を新たに取得したものとして、その金額を取得価額に減価償却します。

資産の通常の維持管理または原状回復に当たる金額は、修繕費として、支出した年分の必要経費に算入します。

少額の資産は少額減価償却資産の特例(法人は法人の少額減価償却資産と一括償却資産)、経費にできる範囲の全体は個人事業主の経費で扱っています。

まとめ

  • 通常の維持管理・修理は修繕費で、支出した年の必要経費になる(国税庁タックスアンサーNo.1379)。
  • 使用可能期間を延ばす部分・価値を高める部分は資本的支出で、減価償却で経費にする。
  • 1つの修理が20万円未満、またはおおむね3年以内の周期なら、修繕費にできる。
  • 区分が明らかでない金額は、60万円未満または前年末の取得価額のおおむね10%以下なら、修繕費にできる。
  • 判定は名目ではなく実質で行う。迷う場合は税理士へ確認する。

法人の修理代の基準(法人税基本通達7-8-3・7-8-4)と、買った資産の10万円・20万円・40万円の基準の比較は法人の10万円・20万円・40万円・60万円の分かれ目で扱っています。

よくある質問

修理代はいくらまで経費にできますか?
1つの修理・改良などの金額が20万円未満なら、修繕費として必要経費にできます。おおむね3年以内の周期で行う修理も同じです(出典:国税庁タックスアンサーNo.1379)。
20万円以上の修理は経費にできませんか?
20万円以上でも、通常の維持管理や原状回復の部分は修繕費です。修繕費か資本的支出か明らかでない金額は、60万円未満または前年末の取得価額のおおむね10%以下なら、修繕費にできます(出典:同No.1379)。
資本的支出とは何ですか?
資産の使用可能期間を延ばす部分や、資産の価値を高める部分の支出です。避難階段の取付けや、用途変更のための模様替えなどが例です(出典:同No.1379)。
資本的支出はどう経費にしますか?
平成19年4月1日以後の支出は、原則として、同じ種類・耐用年数の資産を新たに取得したものとして、その金額を取得価額に減価償却します(出典:同No.2107)。
修繕費と資本的支出の区別は、名目で決まりますか?
名目ではなく、実質で判定します。修繕や改良といった名前では決まりません(出典:同No.1379)。

公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税理士・税務署へご確認ください。