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事業用車両の車検費用、減価償却との関係と整備提案の見極め方

車検の法定費用と、整備工場が別途提案する整備・部品交換費用の違いを国土交通省の資料で整理し、減価償却・経費との関係もあわせて解説します。

国土交通省・国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

仕事で車を使う個人事業主は、車検のたびに整備工場から追加の整備・部品交換を提案されることがあります。どこまでが車検を通すために必ず必要な費用で、どこからが提案なのかが分かりにくいと感じる人も多いはずです。

車検の法定費用の内訳と、法定点検・追加整備との違いを国土交通省の資料にもとづき整理し、車両費として経費にする際の考え方もあわせて確認します。

車検の法定費用は3つ

車検(継続検査)で必ずかかる法定費用は、検査手数料・自動車重量税・自賠責保険料の3つです。国土交通省の案内では、検査にかかる費用は「検査手数料」と、それに付帯する「諸経費(税、保険)」に分かれるとされています。

費用内容納付先
検査手数料(印紙代等)検査・車検証発行にかかる行政手数料国・検査機関等
自動車重量税車両重量・経過年数・燃費性能等で税額が決まる国税国
自賠責保険料加入が法律で義務づけられた保険。保険期間(12〜60か月)と車種で保険料が決まる保険会社

この3つは税金・行政手数料・保険料であるため、整備工場が金額を値引きしたり上乗せしたりすることはできません。自動車重量税の現在の税額は次回自動車重量税額照会サービス、自賠責保険料の現在の料率は自賠責保険ポータルサイトで確認できます(出典は後述)。

この記事は自家用登録(白ナンバー)の普通・軽乗用車を対象とします。緑・黒ナンバーの事業用登録車両は点検の周期・項目数が異なります(後述)。

法定点検(24ヶ月点検)とは

自家用乗用車(マイカー)の使用者は、道路運送車両法第48条にもとづき、1年ごとに29項目、2年ごとに1年点検の29項目を含む60項目の定期点検整備を行う義務があります。車検のタイミングで行われる点検は、このうち2年ごとの60項目点検にあたります。

点検整備の実施・記録簿の作成は使用者自身の義務とされており、車検を受ける整備工場に一任している場合でも、義務の主体は使用者側にあります。

緑・黒ナンバーの事業用自動車は対象が異なり、国土交通省の案内では中小型トラック等は6か月ごと24項目・12か月ごと86項目、バス・タクシー・大型トラック等は3か月ごと51項目・12か月ごと101項目とされています。運送業等で事業用登録の車両を使っている場合は、この記事の29・60項目という数値は当てはまりません。

整備工場が提案する整備との違い

点検の結果、基準に適合しない箇所が見つかった場合の整備費用・部品交換費用は、前述の法定費用には含まれない別立ての費用です。整備工場に依頼する際は、事前にどこまでの整備が必要かを確認したほうがよいと国土交通省も案内しています。

また、国土交通省には点検整備を終える前に継続検査(車検)自体を通す「前検査(後整備)」という扱いがあり、後日はがきで点検整備の実施を促す仕組みが運用されています。この扱いが示すとおり、「車検に通すこと」自体と「点検で見つかった箇所を整備すること」は制度上別の手続きです。整備工場から示される見積りは、値引き・上乗せができない法定費用と、整備工場側の技術料・部品代である整備費用に分けて確認できます。

提案された整備の見極め方

  • 見積書を法定費用と整備・部品代に分けてもらう。法定費用は3項目の合計額と一致するはずで、それ以外が整備工場側の技術料・部品代です。
  • どの点検項目が基準に適合しなかったかを確認する。点検整備記録簿や整備箇所の説明を求めれば、提案の根拠を具体的に把握できます。
  • 判断に迷う場合は他の整備工場・ディーラーに見積りを依頼するか、点検整備は別に検討したうえでまず車検(継続検査)だけを通す方法もある。「前検査・後整備」の扱いがあるため、その場で即断する必要はありません。

整備が実際に必要かどうかの技術的な判断や、部品ごとの適正価格の相場は、車両の状態によって個別に異なるためこの記事では扱いません。判断に迷う場合は整備士・専門家に確認してください。

減価償却・経費との関係

通常の車検費用や、点検の結果にもとづく整備・部品交換の費用は、資産の原状回復・通常の維持管理にあたるため、原則としてその年の修繕費として経費にできます。車を経費にする際の按分・仕訳の考え方は車を経費にするで解説しています。

一方、国税庁の案内では、資産の使用可能期間を延長させる部分や価値を増加させる部分にあたる支出は「資本的支出」とされ、その支出を行った資産と同じ種類・耐用年数の新規取得資産として取得価額に算入し、減価償却を行うとされています。車両本体の減価償却の基本は購入費は減価償却で解説しているとおりで、数値の考え方は共通です。

まとめ

  • 車検の法定費用は検査手数料・自動車重量税・自賠責保険料の3つで、業者が金額を操作できない固定額。
  • 自家用乗用車の法定点検(24ヶ月点検)は使用者の義務で1年29項目・2年60項目。
  • 整備工場が提案する整備・部品交換費用は法定費用に含まれない別立てで、「前検査・後整備」の扱いもある。
  • 見積りを法定費用と整備費用に分けて確認し、判断根拠(点検項目・記録簿)を求めるのが見極めの基本。
  • 通常の車検・整備費用は修繕費、性能向上・価値増加を伴う大規模な整備は資本的支出として減価償却の対象になりうる。

車検・整備費で事業利益が下がると税金・社会保険料がどう変わるかは確定申告の税額試算で確認できます。経費区分に迷う場合は勘定科目の一覧もあわせて確認してください。

公式一次情報

よくある質問

車検の法定費用はいくらですか?
検査手数料・自動車重量税・自賠責保険料の合計です。自動車重量税は車両重量・経過年数・燃費性能等で、自賠責保険料は保険期間(12〜60か月)と車種で税額・保険料が決まるため一律の金額はありません。現在の金額は国土交通省の照会サービス・自賠責保険ポータルサイトで確認できます。
整備工場から提案された整備は必ず受けないといけませんか?
法定点検の結果、基準に適合しないと判定された箇所の整備は使用者の義務ですが、その整備・部品交換の費用は法定費用とは別立てです。国土交通省の制度上、点検整備を終える前に車検自体は通る「前検査・後整備」の扱いもあるため、見積り内容を確認したうえで判断できます。
車検費用は経費になりますか?
通常の車検・点検にともなう費用は、資産の原状回復・通常の維持管理にあたるため、原則としてその年の修繕費として経費にできます。ただし使用可能期間を延ばしたり価値を増加させたりする大規模な整備は、国税庁の基準で資本的支出とされ、新たな減価償却資産として扱われることがあります。
本記事について。税理士・整備士監修前の概説です。整備の要否そのものの判断・部品の適正価格は車両の状態により個別に異なるため、整備士または専門家にご確認ください。制度・料率は改正・改定される場合があります。