会社をたたむときの社会保険の手続き(全喪届5日以内・退職後の切替先)
解散・廃業で健康保険・厚生年金保険をやめるときに、会社が出す全喪届と、従業員や役員が退職後に選ぶ健康保険・年金の切替先を、日本年金機構・協会けんぽ・厚生労働省の案内で整理します。
2026年時点の制度会社を解散するときの社会保険の手続きは、会社が出す「適用事業所全喪届」と、人ごとの切替えの2本立てです。全喪届は事実発生から5日以内に日本年金機構へ出します。全喪届を出すと会社は適用事業所でなくなるため、従業員や役員は自分で次の健康保険と年金を選び、期限内に手続きします。
従業員への解雇予告・予告手当は会社解散時の従業員の解雇予告を参照してください。
全喪届の正式名称は「健康保険・厚生年金保険 適用事業所全喪届」で、事業の廃止(解散)のほか、休業や合併で事業所がなくなるときにも事業主が出します。提出先は事務センターか管轄の年金事務所、添付は解散登記のある登記簿謄本のコピーか雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピーが原則です(出典:日本年金機構)。法人成りで個人事業の社会保険をやめる場合の全喪届は適用事業所全喪届の提出先と期限、解散から清算結了までの全体の順序は法人解散から清算結了までの流れを見てください。
この記事では、会社側の届出、最後の保険料の月、退職後の切替先ごとの期限を順に整理します。労災・雇用保険など労働保険の手続きは、窓口が別なので会社をたたむときの労働保険の手続きで確認してください。
出す書類・窓口・期限の一覧
| 手続き | 誰が | 窓口 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 適用事業所全喪届 | 事業主(会社) | 事務センターまたは管轄の年金事務所 | 事実発生から5日以内 |
| 協会けんぽの任意継続の申出 | 退職する本人 | 住所地の協会けんぽ支部 | 退職日の翌日から20日以内 |
| 国民健康保険への加入 | 退職する本人 | 住所地の市区町村の国保の窓口 | 14日以内 |
| 国民年金第1号被保険者への切替え | 退職する本人または世帯主 | 住所地の市区役所または町村役場 | 退職日の翌日から14日以内 |
一人で経営している合同会社や株式会社でも、社長自身が社会保険に入っていれば、表の下の3行は社長本人の手続きとしても必要になります。
会社が出す適用事業所全喪届(健康保険・厚生年金保険、5日以内)
日本年金機構は、事業を廃止(解散)する場合などに、事業主が「適用事業所全喪届」を出すと案内しています。提出時期は事実発生から5日以内、提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、電子申請・郵送・窓口持参のいずれでも出せます。
添付書類は、原則として次のどちらかです。
- 解散登記の記入がある法人登記簿謄本のコピー
- 雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー
どちらも用意できないときは、給与支払事務所等の廃止届のコピー、労働保険の確定保険料申告書のコピー(事業廃止等年月日の記載があるもの)、事業廃止等を議決した取締役会議事録のコピーなどが代わりになります。解散登記より先に届出の期限が来るときは、これらの書類で足りるか年金事務所に確認できます。
届書に書いた事業所名称・所在地・全喪年月日は、日本年金機構のホームページに掲示され、閲覧できるようになります。書き方と法人成りの場合の扱いは、適用事業所全喪届の提出先と期限に詳しくあります。
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最後の保険料はいつの分までか
厚生年金保険の保険料は、資格を喪失した日の属する月の前月分まで納めます。資格喪失日は退職日の翌日です。日本年金機構のよくある質問では、月の途中で退職した場合は退職日の翌日が資格喪失日で、保険料は資格喪失日が属する月の前月分までとされています。
月の末日に退職した場合は、翌月1日が資格喪失日になるため、退職した月分までの保険料が必要です。会社を月末で閉じるか、月の途中で閉じるかで、最後に払う月が1か月変わります。解散日を決めるときは、最後の保険料の月も一緒に確認しておくと、給与からの控除漏れを防げます。
退職後の健康保険と年金の切替先
協会けんぽの案内では、退職後の健康保険の選択肢は、協会けんぽの任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の3つです。
| 切替先 | 手続き先 | 条件・期限 | 保険料 |
|---|---|---|---|
| 協会けんぽの任意継続 | 住所地の協会けんぽ支部 | 退職日までの被保険者期間が継続して2か月以上。退職日の翌日から20日以内に申出 | 退職前に控除されていた保険料の2倍(上限あり) |
| 国民健康保険 | 住所地の市区町村の国保の窓口 | 14日以内に関係書類を提出 | 世帯の人数や前年の所得などで決まる |
| 家族の健康保険 | 家族の勤務先 | 家族の健康保険の扶養の条件を満たすこと | 被扶養者の保険料負担はなし |
任意継続は、健康保険法3条4項が「適用事業所に使用されなくなったため被保険者の資格を喪失した者」で、喪失の日の前日まで継続して2か月以上被保険者だった人を対象としています。申出は資格喪失の日から20日以内(37条)、資格は2年で終わり(38条)、保険料は原則として本人が全額を負担します(161条)。会社の解散のあとの扱いはこれらの条文だけでは読み取れないため、申し込む前に協会けんぽの支部または加入している健康保険組合へ確認してください。
年金は、会社の厚生年金をやめた人が次の会社に入らないときは国民年金第1号被保険者になり、手続きの期限は退職日の翌日から14日以内です。配偶者が会社員で、その扶養に入る場合は第3号被保険者の手続きになり、配偶者の勤務先を通じて行います。
国民健康保険と国民年金は同じ14日でも、窓口の書類は別です。社長が経営から退く場合は、任意継続と国民健康保険のどちらが安いかの考え方も合わせて確認してください。
倒産・解雇による離職は国保料の軽減がある
厚生労働省は、倒産などで職を失った人の国民健康保険料(税)を軽減する措置を案内しています。雇用保険の特定受給資格者(倒産・解雇などによる離職)や特定理由離職者が対象で、失業時からその翌年度末までの間、前年の給与所得を30/100として保険料を計算します。
会社の解散で離職した従業員は、離職票の離職理由が判定のもとになります。雇用保険の対象でなかった役員がこの軽減を受けられるかは、厚生労働省のページに書かれていないため、市区町村の国保の窓口で確認してください。従業員に出す離職票は、雇用保険の資格喪失届とあわせて手続きします。
解散にともなう申告や登記は、法人解散から清算結了までの流れに順序をまとめています。
次に読む
全喪届のほか、登記や清算の期限を含めた時期別の一覧は法人の運営と解散のまとめで確認できます。
公式一次情報
- 日本年金機構「適用事業所が廃止等により適用事業所に該当しなくなったときの手続き」(全喪届の提出者・提出時期5日以内・提出先・添付書類・掲示)
- 日本年金機構「月の途中で退職したときの厚生年金保険料」(資格喪失日と保険料の対象月)
- 協会けんぽ「退職後の健康保険」(任意継続・国民健康保険・家族の健康保険の比較、2か月以上、20日以内、保険料2倍)
- e-Gov法令検索「健康保険法」(第3条第4項・第37条・第38条・第161条)
- 厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」(14日以内に市町村の窓口へ)
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」(非自発的失業者に対する軽減措置)
- 日本年金機構「国民年金第1号資格取得の手続き」(退職日の翌日から14日以内)
- 日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」(第1号・第3号の区分)
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