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個人事業主が亡くなったときの準確定申告と事業の手続き|期限の日付逆算

相続人が事業を続ける場合と畳む場合に、4か月・3か月の期限をどう数えるかを整理します。

国税庁・e-Govの制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

個人事業主が亡くなると、本人の事業の所得にかかる税金は、相続人が代わりに申告します。この申告を準確定申告といい、期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。

事業を続けるか畳むかで、ほかに必要な届出や、期限の数え方が変わります。このページでは、国税庁とe-Gov法令検索の原文で確かめた期限だけを、日付の数え方つきで並べます。

期限の早見表(亡くなった日を起点に数える)

期限の起点になるのは、亡くなった日ではなく「相続の開始があったことを知った日」です。同居の家族なら通常は亡くなった日と同じですが、連絡が遅れた場合などは、知った日が起点になります。以下は、知った日をX日として並べた表です。

手続き期限根拠
相続の承認・放棄(単純承認・限定承認・相続放棄)自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内民法915条1項
所得税の準確定申告X日の翌日から4か月以内所得税法125条、国税庁No.2022
消費税の申告(課税事業者だった場合)X日の翌日から4か月を経過した日の前日まで消費税法45条2項・3項
消費税の死亡の届出書速やかに消費税法57条1項4号
インボイス登録事業者の死亡の届出書速やかに消費税法57条の3第1項
青色申告の承認申請書(事業を引き継ぐ相続人)後述の通り、承継した日などで3通りに分かれる国税庁No.2070

相続放棄の3か月は準確定申告の4か月より先に来ます。つまり、相続するかどうかを決める時期は、申告の期限よりも前です。事業の借入金や未払いの税金が心配なときは、相続の承認・放棄の判断を先に済ませる必要があります。

判断に迷う場合は、家庭裁判所や弁護士などの専門家へ早めに相談してください(民法915条1項ただし書きは、この期間を家庭裁判所が伸ばせると定めています)。

準確定申告(所得税)の期限と進め方

年の途中で亡くなった人の所得税は、1月1日から亡くなった日までに確定した所得を計算して、相続人(包括受遺者を含みます)が申告・納税します。期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です(国税庁No.2022)。

期限の数え方の例

相続の開始を知った日が3月10日なら、その翌日の3月11日から4か月を数え、期限は7月10日です。法律の文言は「4か月を経過した日の前日まで」なので、知った日と同じ「日」が期限の日になります(所得税法125条1項)。期限の日が土日祝日にあたる場合の扱いは、税務署の案内で確認してください。

相続人が複数いるとき

各相続人が連署した1通の準確定申告書を出します。ただし、ほかの相続人の氏名を付記して、各人が別々に提出することもできます。その場合、提出した相続人はほかの相続人に申告内容を知らせる必要があります。

提出するものと提出先

  • 準確定申告書に、各相続人の氏名・住所・被相続人との続柄などを書いた付表を添えます。
  • 提出先は、亡くなった人の死亡当時の納税地を管轄する税務署です。相続人の住所地とは限りません。
  • 還付金を相続人の代表者が受け取る場合は、付表とは別に委任状が要ります。

控除の扱いで間違えやすい点

  • 医療費控除の対象は、亡くなる日までに本人が支払った医療費だけです。亡くなったあとに相続人が支払った分は、本人の準確定申告には含められません。
  • 社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除も、亡くなる日までに本人が支払った額が対象です。
  • 配偶者控除・扶養控除などの要件の判定は、亡くなった日の現況で行います。月割り計算はしません。

前年分の確定申告をしないまま、翌年の1月1日から3月15日までの間に亡くなった場合も、前年分と本年分の両方の期限が「相続の開始を知った日の翌日から4か月以内」になります。

消費税の申告と届出

亡くなった人が消費税の課税事業者だった場合は、所得税の準確定申告とは別に、消費税の申告が必要です。消費税を納める義務が免除されている事業者(免税事業者)には、この申告は要りません。税額の計算方法は簡易課税の解説を参照してください。

  • 亡くなった年の途中までの消費税:相続人が、相続の開始を知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに申告します(消費税法45条3項)。
  • 前年分の申告が終わっていなかった場合:前年分の消費税の申告期限までに申告しないまま亡くなったときも、同じく4か月の期限で相続人が申告します(消費税法45条2項)。
  • 届出書:課税事業者だった個人事業者が亡くなったときは、相続人が死亡した旨を書いた届出書を速やかに税務署へ出します(消費税法57条1項4号)。

消費税の申告は、所得税の準確定申告と期限が同じでも、書類は別です。両方を同じ日に出すつもりで準備すると、数え間違いを防げます。

インボイス登録事業者だった場合

亡くなった人が適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)だった場合は、相続人が死亡の届出書を速やかに提出します(消費税法57条の3第1項)。

  • 亡くなった人の登録は、届出書を出した日の翌日、または亡くなった日の翌日から4か月を経過した日のいずれか早い日に効力を失います(同条2項)。
  • 事業を引き継ぐ相続人が登録事業者でない場合は、相続のあった日の翌日から、相続人が自分の登録を受けた日の前日、または亡くなった日の翌日から4か月を経過する日のいずれか早い日までの間、相続人が登録を受けたものとみなされます(同条3項)。引き続き適格請求書を出したい場合は、この期間内に自分の登録を受ける手続きを進める必要があります。

登録の手続き自体はインボイス登録の方法で整理しています。

事業を続ける相続人の届出(青色申告の承認)

亡くなった人が受けていた青色申告の承認は、相続人にそのまま引き継がれません。事業を続けて青色申告をしたい相続人は、自分で「青色申告承認申請書」を出します(国税庁No.2070)。提出期限は、承継した時期で次のように分かれます。

  • その年の1月16日以後に事業を承継した場合:承継した日から2か月以内。
  • 亡くなった人が青色申告の承認を受けていた場合:準確定申告書の提出期限(相続の開始を知った日の翌日から4か月以内)まで。ただし、その期限が「青色申告の承認があったとみなされる日」より後に来るときは、その日まで。

事業を畳む場合は、亡くなった人の廃業にあたる手続きになります。廃業届や消費税の事業廃止の考え方は個人事業主の廃業で整理していますが、亡くなった場合の届出書の提出期限や提出者の細かい扱いは、本ページでは一次資料で確認できていないため書きません。管轄の税務署へ確認してください。

相続した事業を、のちに法人にして続けたい場合は、個人事業の許認可は法人成りで引き継げる?で許認可の扱いを整理しています。

相続放棄・限定承認の3か月との関係

相続人は、相続の開始を知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・放棄のいずれかを選びます(民法915条1項)。承認や放棄をする前に、相続財産を調べることもできます(同条2項)。

事業に借入金や未払金がある場合は、準確定申告を先に出す前に、この承認・放棄の判断を整理しておくと混乱しません。判断は個別の事情で変わるため、本ページでは一般的な期限の説明にとどめます。

公式一次情報

まとめ

  • 起点は「相続の開始を知った日」。3か月(相続の承認・放棄)が先、4か月(所得税・消費税の申告)が後に来る。
  • 所得税の準確定申告は、死亡当時の納税地の税務署へ。付表を添え、控除は「亡くなる日までに本人が払った分」で判定する。
  • 課税事業者だった場合は、消費税の申告と死亡の届出書も別に必要。インボイス登録事業者なら、その死亡の届出書も出す。
  • 事業を続ける相続人は、青色申告の承認を自分で申請し直す。

よくある質問

個人事業主が亡くなったら、確定申告はいつまでにしますか?
相続人が、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、亡くなった人の準確定申告をします。1月1日から亡くなった日までの所得が対象です(出典:国税庁)。
準確定申告はどこの税務署に出しますか?
亡くなった人の死亡当時の納税地の税務署長に提出します。相続人の住所地の税務署とは限りません(出典:国税庁)。
相続人が複数いる場合は、全員で出しますか?
各相続人が連署した1通を出すのが基本です。ほかの相続人の氏名を付記して別々に出すこともでき、その場合は申告内容をほかの相続人に知らせます(出典:国税庁)。
亡くなったあとに相続人が払った医療費は、準確定申告で控除できますか?
できません。医療費控除の対象は、亡くなる日までに本人が支払った医療費です(出典:国税庁)。
消費税の申告も必要ですか?
亡くなった人が消費税の課税事業者だった場合は必要です。相続人が、相続の開始を知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに申告します。免税事業者だった場合は申告が要りません(出典:e-Gov法令検索 消費税法)。
事業を引き継ぐと、亡くなった人の青色申告もそのまま使えますか?
そのまま使えるわけではなく、引き継ぐ相続人が青色申告承認申請書を出します。期限は承継の時期などによって分かれます(出典:国税庁)。
本記事について。税理士監修前の概説です。制度・期限は改正される場合があります。個別の判断は税務署または専門家へご確認ください。