株式会社の解散を決める株主総会|特別決議の要件・招集・議事録と、決議後の継続
会社を自分たちで解散するときに必要な株主総会の決議を、会社法471条・309条などの条文で整理します。
会社法の制度事業をやめて株式会社をたたむとき、最初の手続きは株主総会で解散を決めることです。解散の決議は普通の決議より厳しい「特別決議」で、賛成の割合が足りないと解散は決まりません。
この記事では、解散の原因の種類、特別決議の賛成の割合、総会の招集と省略のしかた、議事録の保存、解散後に会社を継続できる期限を、会社法の条文で説明します。解散後の登記や税務の手続きは、別の記事に分けています。
解散の原因と、総会の決議で解散する場合
株式会社の解散の原因は、会社法471条に次のように定められています。
- 定款で定めた存続期間の満了
- 定款で定めた解散の事由の発生
- 株主総会の決議
- 合併(合併で消滅する場合に限る)
- 破産手続開始の決定
- 解散を命ずる裁判
このほかに、登記が12年間ない休眠会社は、法務大臣の公告のあと届出をしないと解散したものとみなされます(会社法472条)。放置したときの流れは、休眠会社の解説ページにまとめています。
解散した会社は、合併や破産手続の場合などを除いて、清算をしなければなりません(会社法475条)。
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特別決議に必要な賛成の割合
会社法309条2項は、解散を含む会社の組織に関わる決議を「特別決議」とし、次の2つを満たすことを求めています。11号は、会社法第6章から第8章(定款の変更・事業の譲渡等・解散)の規定で総会の決議を要する場合を、特別決議の対象にしています。
| 要件 | 内容 | 定款で変えられるか |
|---|---|---|
| 定足数 | 議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席する | 3分の1以上の割合まで下げられる |
| 賛成の割合 | 出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成 | これを上回る割合に上げられる |
たとえば議決権が100票ある会社で、全員が出席した場合は、67票以上の賛成が要ります。出席が60票なら、その3分の2の40票以上です。この計算例は説明用で、定款に別の定めがあればそれに従います。
議決権が1人に集中している会社では、その株主1人で決議が成り立つことがあります。一人法人の総会の扱いは一人法人でも必要な株主総会と議事録で説明しています。
総会の招集と、開かずに決める方法
株主総会を開くには、取締役が株主に招集の通知を出します。通知の期限は、総会の日の2週間前が原則です。
株式の譲渡に制限がある会社(公開会社でない会社)は1週間前で、書面や電子的方法で議決権を行使できると定めた場合は2週間前に戻ります(会社法299条1項)。公開会社でない会社のうち取締役会を置かない会社は、1週間より短い期間を定款で定めることもできます。
集まって開く方法のほかに、次の2つの方法があります。
- 招集手続の省略:株主全員の同意があれば、招集の手続きを経ずに総会を開けます(会社法300条)。書面や電子的方法による議決権行使を定めた場合は使えません。
- 決議の省略:提案に議決権のある株主全員が書面または電磁的記録で同意すると、可決の決議があったものとみなされます(会社法319条1項)。総会を開かなくても解散を決められます。
決議の省略は、全員の同意が必要です。1人でも反対や不同意があれば使えないため、その場合は総会を開いて特別決議にします。
議事録の作成と保存
株主総会を開いたときは、議事録を作らなければなりません(会社法318条1項)。会社は、総会の日から10年間、議事録を本店に備え置きます(同条2項)。決議の省略をしたときも、同意の書面や電磁的記録を、みなされた日から10年間、本店に備え置きます(会社法319条2項)。
株主と債権者は、営業時間内にいつでも議事録の閲覧を請求できます(会社法318条4項)。他の書類の保存期間は法人の書類の保存期間一覧表で比べられます。
解散の登記に議事録をどう使うか、登録免許税はいくらかは、株式会社の解散登記・清算結了登記で整理しています。
解散後に会社を継続できる期限
解散を決めたあとで事情が変わった場合、清算が終わるまでなら、株主総会の決議で会社を継続できることがあります(会社法473条)。ただし対象は次の場合に限られます。
| 解散の原因 | 継続できる期限 |
|---|---|
| 存続期間の満了・定款で定めた事由の発生・株主総会の決議 | 清算が結了するまで |
| 休眠会社のみなし解散 | みなし解散から3年以内 |
合併や破産手続開始による解散は、この継続の対象に入っていません。継続を決める総会の決議の要件や、継続の登記は、この記事では扱いません。必要になったら司法書士または法務局に確認してください。
次に知りたいこと
- 解散から清算結了までの全体の流れは、法人解散から清算結了までの流れ。
- 解散の次に決める清算人は、清算人とは。
- 債権者への官報公告と催告は、解散後の債権者への官報公告と催告。
- 合同会社の場合は、合同会社の解散・清算結了登記。
公式情報
- e-Gov法令検索「会社法」(299条・300条 招集、309条2項 特別決議、318条 議事録、319条 決議の省略、471条 解散の事由、472条 休眠会社、473条 継続、475条 清算の開始原因)
よくある質問
- 会社を解散するには、株主総会で何が必要ですか?
- 株主総会の決議が必要です。決議は特別決議で、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上が賛成する必要があります(出典:会社法471条3号・309条2項)。
- 株主総会を開かずに解散を決められますか?
- 議決権のある株主全員が書面または電磁的記録で同意すれば、可決の決議があったものとみなされます。1人でも不同意なら使えません(出典:会社法319条)。
- 解散の議事録は何年保存しますか?
- 総会の日から10年間、本店に備え置きます。決議の省略の場合は、同意の書面などを、みなされた日から10年間備え置きます(出典:会社法318条・319条)。
- 解散を決めたあとに、やっぱり会社を続けることはできますか?
- 総会の決議による解散の場合は、清算が結了するまでなら、株主総会の決議で会社を継続できます(出典:会社法473条)。

