個人事業主が事業用の車・機械を売ったときの税金(譲渡所得)
事業で使っていた機械や車の売却益は、事業所得ではなく譲渡所得になります。税額の出し方と消費税の扱いを順に説明します。
譲渡所得個人事業主が事業用の機械や車を売ったとき、その代金を売上に入れる必要はありません。減価償却資産の売却代金は、原則として譲渡所得の収入金額になり、事業所得の収入金額にはなりません。国税庁の青色申告決算の手引きにも同じ扱いが書かれています。
- 譲渡所得の金額は「譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除50万円」で計算します。
- 所有期間が5年を超える長期譲渡は、譲渡所得の2分の1が総合課税の対象です。
- 取得費は、取得価額から事業で使った期間の減価償却費の累積額を引いて求めます。
- 消費税の課税事業者なら、売却代金は課税売上です。免税事業者は消費税の納税義務がありません。
譲渡所得になるもの・ならないもの
所得税法33条は、譲渡所得を資産の譲渡による所得と定めています。ただし、たな卸資産の譲渡など、営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得は譲渡所得から除かれます。
国税庁の「青色申告の決算の手引き(一般用)」は、機械装置や器具備品などの減価償却資産の売却代金は、原則として譲渡所得の収入金額になり、事業所得の収入金額にはならないと説明しています。例外として、次のものは事業所得の収入金額になります。
- 少額減価償却資産(10万円未満で、基本的に重要なものを除く)
- 一括償却資産として必要経費にしたもの
- 貸衣装のように、反復継続して売るのが通常のもの
国税庁No.3105でも、使用可能期間が1年未満のものや取得価額が10万円未満のもの、20万円未満で一括償却したものの譲渡は、事業所得または雑所得になるとされています。
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譲渡所得の計算式
国税庁No.3152によると、譲渡所得の金額は次の式で求めます。
| 区分 | 所有期間 | 総合課税の対象になる額 |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以内 | 全額 |
| 長期譲渡所得 | 5年を超える | 2分の1 |
特別控除50万円は、その年の長期と短期の譲渡益の合計に対して適用されます。先に短期譲渡所得から差し引き、譲渡益が50万円以下なら、その金額までしか控除できません。車や機械などの「その他の資産」は、土地・建物のような分離課税ではなく、ほかの所得と合算する総合課税です(国税庁No.3105)。
取得費の考え方
機械や車のように、使ううちに価値が下がる資産の取得費は、取得価額から減価償却費の累積額を引いた額になります(所得税法38条2項)。事業に使っていた期間は、事業所得の必要経費にした減価償却費の累積額を引きます。
国税庁No.3152の注にも、使用したり期間が経過したりして減価する資産は、減価償却費相当額を控除した金額が取得費になると書かれています。
売却した年の減価償却費は、年の途中で譲渡した場合、「その年分の償却費の額÷12×業務に使った月数(1か月未満は切り上げ)」で月割りします(国税庁No.2105)。
計算例
数字は仕組みを見るための例です。実際の金額は、減価償却の記録から確認してください。
| 項目 | 例1(短期・損失なし) | 例2(長期) |
|---|---|---|
| 取得価額 | 200万円 | 200万円 |
| 減価償却費の累積額 | 150万円 | 150万円 |
| 取得費 | 50万円 | 50万円 |
| 売却価額(譲渡費用なし) | 80万円 | 150万円 |
| 譲渡益 | 30万円 | 100万円 |
| 特別控除後 | 0円(30万円まで控除) | 50万円 |
| 総合課税の対象 | 0円 | 25万円(5年超なら2分の1) |
例1は譲渡益が50万円以下なので、控除の結果、課税される譲渡所得は0円です。例2は所有期間が5年を超える場合で、50万円の2分の1の25万円が他の所得と合算されます。
消費税の扱い
消費税の課税事業者が事業用の車や機械を売った場合、売却代金は課税売上です(国税庁の質疑応答事例「事業者の事業用固定資産の売却」)。給与所得者がたまたま自家用車を売るような行為は事業として行う取引になりませんが、事業用の車は事業として行う取引です(国税庁No.6105)。
簡易課税を選んでいる場合、自分で使っていた固定資産の売却は、本業にかかわらず第4種事業(みなし仕入率60%)です(国税庁No.6509)。個人は前々年の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税の納税義務が免除されます(国税庁No.6501)。
法人の場合の下取りや廃棄の扱いは会社の車・機械を売却・下取り・廃棄したときの消費税にまとめています。
土地と建物をまとめて売るときの消費税の按分は、土地付き建物を売ったときの消費税の按分で扱っています。
事務所や店舗を兼ねた自宅を売るときの3,000万円特別控除は、事務所・店舗兼用の自宅を売るときの3,000万円特別控除で説明しています。
申告に使う書類
総合課税の譲渡所得の計算には、「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表)【総合譲渡用】」を使います。土地・建物や株式等以外の資産を譲渡した場合の計算用の様式です(国税庁)。土地・建物用の内訳書とは別の様式なので、取り違えないようにします。
事業の損益計算書には売却代金や売却益を載せません。売却益は譲渡所得として申告書側で扱います。
売らずに捨てた・取り壊した場合は、譲渡ではなく除却の損失として必要経費になります。扱いは固定資産を廃棄・除却したときの税務で整理しています。
よくある質問
- 事業用の機械を売ったお金は事業の売上に入れますか?
- 原則として入れません。減価償却資産の売却代金は譲渡所得の収入金額です。10万円未満の少額減価償却資産や一括償却資産は例外で、事業所得の収入金額になります(国税庁の青色申告決算の手引き)。
- 譲渡所得の特別控除はいくらですか?
- 最高50万円です。長期と短期の譲渡益の合計に対して適用され、先に短期譲渡所得から差し引きます(国税庁No.3152)。
- 所有期間が5年を超えると税金はどう変わりますか?
- 長期譲渡所得は、その2分の1が総合課税の対象になります。短期は全額が対象です(国税庁No.3152)。
- 取得費はどう計算しますか?
- 取得価額から、事業に使っていた期間の減価償却費の累積額を引いた額です(所得税法38条2項)。

