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固定資産の除却の税務(個人は必要経費・法人は除却損)

使わなくなった機械・車両・建物・ソフトウエアを捨てたり取り壊したりしたときに、残っている帳簿上の金額を費用にできるかを説明します。

所得税法・法人税基本通達
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

事業で使っていた機械や車を処分するとき、売れば売却損益、捨てれば「除却」として扱いが分かれます。減価償却がまだ残っている資産を捨てると、残りの金額をいつ費用にできるかが問題になります。

個人事業主と法人で、捨てた固定資産の未償却分を費用にする根拠は条文で確認できます。売却の場合は事業用資産を売ったときの所得で扱っています。

個人事業主:資産損失として必要経費にする

所得税法第51条第1項は、不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき事業に使っている固定資産について、取りこわし、除却、滅失などで生じた損失の金額を、その損失が生じた日の属する年分の必要経費に算入すると定めています。

ただし、保険金や損害賠償金などで補てんされる部分と、資産の譲渡によって(またはこれに関連して)生じた損失は、この条文の対象から除かれています。売って損が出た場合は、この条文ではなく譲渡の計算になります。

損失の金額の元になる資産の価額は、所得税法施行令第142条第1号により、その日に資産を譲渡したものとみなしたときの取得費に相当する金額です。

事業用の建物や機械のように価値が減る資産の取得費は、所得税法第38条第2項により、取得に要した金額から、業務に使った期間の減価償却費の累積額を引いた金額です。つまり、買ったときの金額から、これまで必要経費にした償却費を引いた残りが、除却したときの損失の元になります。

雑所得を生ずる業務に使った資産の損失は、同法第51条第4項により、その年の雑所得の金額を限度に必要経費になります。事業所得として扱えるかどうかで、損失の使い方が変わります。

法人:除却した事業年度の損金にする

法人税法第22条第3項第3号は、事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るものを、損金の額に算入すると定めています。固定資産の除却による損失は、この損失に当たります。

法人税基本通達7-7-1は、法人が持っている建物・構築物などで、まだ使えるものを取り壊し、新たにこれに代わる建物・構築物などを取得した場合の扱いを示しています。取り壊した資産の取壊し直前の帳簿価額(取り壊したときの廃材等の見積額は除く)は、取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入するという内容です(土地とともに取得した建物等の取壊しに当たる場合は、通達7-3-6の扱いになります)。

機械や車両など、建物以外の資産を廃棄した場合の細かい扱いは、この通達の条文だけでは網羅されていません。資産の種類によって処理が変わります。

捨てていなくても除却損にできる有姿除却

法人税基本通達7-7-2は、解体・破砕・廃棄などをしていなくても、次のような固定資産は、帳簿価額から処分見込価額を引いた金額を除却損として損金にできると定めています。

  • 使用を廃止し、今後通常の方法で事業に使う可能性がないと認められる固定資産
  • 特定の製品の生産のために専用していた金型などで、その製品の生産を中止し、将来使われる可能性がほとんどないことが状況から明らかなもの

これは「有姿除却」と呼ばれる扱いです。倉庫に置いたままの使わない機械でも、使う可能性がないと認められれば対象になり得ますが、その判断には事実の裏づけが必要です。

ソフトウエアについては、通達7-7-2の2が別に定めています。物理的な除却や廃棄がなくても、自社利用のソフトウエアで、そのデータ処理の対象となる業務を廃止して使わなくなったことが明らかな場合などは、帳簿価額(処分見込価額があれば引いた残額)を、その事実が生じた日の属する事業年度の損金にできます。

計算例

次の数字は、上の条文の考え方を当てはめた例(金額は仮のものです)。

ケース数字費用にできる額の考え方
個人:事業用の機械を廃棄購入100万円、償却費の累積70万円、保険金なし100万円−70万円=30万円が損失の元になる(所得税法第38条第2項・施行令第142条)
法人:使わない機械の有姿除却帳簿価額60万円、処分見込価額10万円60万円−10万円=50万円が除却損(通達7-7-2)

どちらの例も、保険金や売却代金が入る場合は金額が変わります。売却した場合は除却ではなく譲渡として別の計算になります。

関連記事:少額減価償却資産と一括償却資産、固定資産を売却したときの消費税、減価償却。

看板を取り外すときの除却損の考え方は看板・ネオンサインの経理でも整理しています。

公式一次情報

まとめ

  • 個人事業主は、事業用固定資産の除却損失を、損失が生じた年の必要経費にできる(所得税法第51条第1項)。
  • 損失の元は、取得費から償却費の累積額を引いた金額に相当する額(第38条第2項・施行令第142条)。
  • 法人は、除却による損失を損金にできる(法人税法第22条第3項第3号)。
  • 使う見込みがない資産は、捨てていなくても帳簿価額から処分見込価額を引いた額を除却損にできる(通達7-7-2)。

次に知りたいこと:減価償却の方法、償却資産税、固定資産を売却したときの消費税、保険金で代替資産を買うときの圧縮記帳。

よくある質問

個人事業主が事業用の機械を捨てたとき、残っている帳簿上の金額は費用になりますか?
事業所得を生ずべき事業に使っていた固定資産の除却による損失は、その年の必要経費になります(所得税法第51条第1項)。保険金などで補てんされた部分は除かれます。
売却して損が出た場合も、除却損として扱えますか?
所得税法第51条第1項は、資産の譲渡によって生じた損失を対象から除いています。売った場合は譲渡の計算になります。
使っていない機械が倉庫にあります。捨てなくても除却損にできますか?
法人税基本通達7-7-2は、使用を廃止し、今後通常の方法で事業に使う可能性がないと認められる固定資産について、帳簿価額から処分見込価額を引いた金額を除却損として損金にできるとしています。使う可能性がないことの裏づけが必要です。
使わなくなった自社用のソフトウエアも除却できますか?
通達7-7-2の2は、そのソフトウエアによるデータ処理の対象業務が廃止され、利用しなくなったことが明らかな場合などに、帳簿価額(処分見込価額を引いた残額)を損金にできるとしています。
本記事について。税理士監修前の概説です。固定資産の除却の処理は資産の種類や会計処理により異なるため、実際に処分するときは税理士に確認してください。

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