支店設置登記の手続き|本店で2週間以内・登録免許税6万円
会社が支店を出したときの登記の申請先、期限、登録免許税、決議の方法、添付書面を整理します。令和4年9月1日に支店所在地での登記が廃止された後の扱いも、法務局の案内にもとづいて確認します。
会社法・登録免許税法の制度法人成りした会社が取引先の多い地域に支店を出すとき、「支店のある法務局にも登記が要るのか」と迷う人は少なくありません。現在は、支店を設置した登記も本店の所在地を管轄する法務局に申請すれば足ります。
このガイドは、支店設置登記の期限・費用・決議方法・添付書面を一つずつ確認します。本店そのものを動かす場合は本店移転登記を参照してください。
申請先は本店所在地の法務局だけ
株式会社の登記事項には「本店及び支店の所在場所」が含まれます(会社法911条3項3号)。合同会社も同じです(会社法914条3号)。支店を設けたときは、この登記事項に変更が生じたことになります。
令和4年8月31日までは、本店の登記事項について支店の所在地でも登記を申請する必要がありました。令和4年9月1日から、支店の所在地における登記は廃止されました。法務局の案内では、支店所在地で申請しても商業登記法24条2号により却下されるとされています。
ただし廃止されたのは支店所在地での登記だけです。本店所在地で行う支店の設置・移転・廃止の登記は、引き続き必要です。
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登記の期限と登録免許税
支店を設置したときは、2週間以内に、本店の所在地で変更の登記をします(会社法915条1項)。
登録免許税は、支店1か所につき6万円です(国税庁「登録免許税の税額表」の「支店の設置の登記」)。2か所同時に設置すれば12万円になります。
登記を怠ると、取締役などが100万円以下の過料に処せられるおそれがあります(会社法976条1号)。実際の過料の額は個別の事情で決まります。
支店を設置する決議の方法
支店の設置は、会社の機関設計によって決める人が変わります。
- 取締役会を置く会社:取締役会の決議で決めます。支店その他の重要な組織の設置は、取締役に任せられない事項です(会社法362条4項4号)。
- 取締役会を置かない株式会社:取締役が2人以上なら、取締役の過半数で決めます。支店の設置は各取締役に委任できません(会社法348条2項・3項2号)。取締役が1人の会社は、その取締役が決めます。
一人社長の会社で決定書を作る場面は、役員の人数と取締役会の有無も合わせて確認してください。
申請書に添える書面
法務局の案内によると、支店設置の登記には、取締役会の議事録、または取締役の過半数の一致があったことを証する書面を添付します。書面には、設置する支店の所在地と設置の時期を記載します。
登記すべき事項は、「年月日支店設置」と支店の所在場所です。合同会社は、業務執行社員の過半数の一致を証する書面を使います。申請書の様式と記載例は、法務局の「商業・法人登記の申請書様式」で配布されています。
申請後の登記事項証明書の取り方は登記事項証明書の取り方で確認できます。
支店の移転・廃止も本店で登記する
支店を同じ会社の別の場所へ移したときや、閉じたときも、本店の所在地で登記を申請します(法務局の案内)。登録免許税は、支店の移転が1か所につき3万円です(国税庁「登録免許税の税額表」)。
期限は、設置と同じく変更から2週間以内です(会社法915条1項)。
登記のあとに確認する届出
支店は税金の届出にも関わります。事業所を新しく置いた地域の都道府県・市区町村では、法人事業税・法人住民税の事務所設置の届出が必要になる場合があります。
提出期限と様式は自治体ごとに異なるため、支店の所在地の自治体の案内で確認してください。届出の全体像は法人の地方税の届出にまとめています。
支店で給与を支払う場合は、給与支払事務所等の開設届出書の扱いも確認しておくと安心です。
まとめ
- 支店の設置は本店の所在地を管轄する法務局へ、2週間以内に登記する。
- 支店所在地での登記は令和4年9月1日に廃止され、そこへ申請すると却下される。
- 登録免許税は支店1か所につき6万円。
- 取締役会設置会社は取締役会決議、非設置の株式会社は取締役の過半数で決める。
- 支店の移転・廃止も本店で登記する。移転は1か所3万円。
会社の変更手続きの期限と費用を並べて見たいときは、会社の変更手続き早見表が役に立ちます。取締役会を置いていない会社が機関設計を変えるときは取締役会を廃止する手続きも参照してください。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法」第911条3項3号・第914条3号・第915条1項・第348条・第362条4項4号・第976条1号(登記事項に支店の所在場所が含まれること、変更から2週間以内の登記、決議の機関、登記を怠った場合の過料)
- 岡山地方法務局「支店・従たる事務所の所在地における登記の廃止について」(令和4年9月1日の廃止、支店所在地での申請は却下、本店所在地での支店設置登記は引き続き必要)
- 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(支店の設置の登記は1か所につき6万円、支店の移転は1か所につき3万円)
- 法務局「株式会社支店設置登記申請書」様式(登記の事由は支店設置、取締役会議事録などの添付書面)
- 法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>」(取締役会設置会社は取締役会決議、取締役会を設置していない会社は取締役の過半数の決定で支店を設置できる)
よくある質問
- 支店を出したら、支店のある地域の法務局にも登記が必要ですか?
- 必要ありません。令和4年9月1日から支店の所在地における登記は廃止されました。本店の所在地を管轄する法務局へ申請します(出典:法務局の案内)。
- 支店設置登記の期限と費用を教えてください。
- 支店を設置した日から2週間以内です(会社法915条1項)。登録免許税は支店1か所につき6万円です(出典:国税庁「登録免許税の税額表」)。
- 取締役が1人だけの会社でも決議書は必要ですか?
- 取締役が1人の会社は、その取締役が支店の設置を決めます。登記の添付書面は、法務局の案内に沿って、決定を証する書面を用意してください。具体的な書き方は申請先の法務局に確認すると確実です。
- 支店を閉じたときも登記が必要ですか?
- 必要です。支店の廃止も本店の所在地で登記します(出典:法務局の案内)。期限は変更から2週間以内です。
本店を移すときの登記は、本店移転登記の期限・費用・決議で確認できます。

