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消費税の端数計算|千円・1円・100円未満の切捨てとインボイスの端数処理

消費税の申告では、課税標準額は千円未満、税額は1円未満、納付額は100円未満を切り捨てます。請求書の消費税額は税率ごとに1回だけ端数処理します。順に計算例で確認します。

国税庁の制度
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

消費税の申告書は、計算の途中で端数を切り捨てる場所が複数あります。国税庁のタックスアンサーNo.6371は、課税標準額、消費税額、納付すべき消費税額、還付金、適格請求書の消費税額に分けて端数の扱いを示しています。

申告書の端数は法令で切捨てと決まっています。一方、請求書に書く消費税額の端数処理は、切上げ・切捨て・四捨五入のどれでも構いません。この違いを軸に整理します。

端数の扱いの一覧

申告書の端数はすべて切捨て:国税庁は、課税標準額は千円未満、課税標準額に対する消費税額と課税仕入れに係る消費税額は1円未満、納付すべき消費税額は100円未満の端数を切り捨てると案内しています。還付金は1円未満を切り捨て、1円未満の還付は1円とします。
計算の場所端数の扱い
課税標準額1,000円未満を切り捨てる
課税標準額に対する消費税額1円未満を切り捨てる
課税仕入れに係る消費税額1円未満を切り捨てる
売上対価の返還等に係る消費税額・貸倒れに係る消費税額1円未満を切り捨てる
差引後の納付すべき消費税額100円未満を切り捨てる
還付金に相当する消費税額1円未満を切り捨てる。1円未満なら1円とする
適格請求書の消費税額等税率ごとに1回の端数処理。方法は任意

国税庁の同ページが挙げる根拠法令等は、消費税法第28条から第30条、国税通則法第118条から第120条、消費税法施行令第70条の10、消費税法基本通達1-8-15です。

課税標準額は千円未満を切り捨てる

課税標準額は、原則として、その課税期間の課税売上げの税込価額の合計に110分の100を掛けて求めます。軽減税率の対象は108分の100を掛けます。

こうして出た金額に1,000円未満の端数があれば、切り捨てます。先に税込の合計を税率ごとに税抜へ戻し、そのあとで千円未満を切り捨てます。

ここでの税込価額は、消費税額と地方消費税額を含んだ金額です。

消費税額は1円未満を切り捨てる

課税標準額に対する消費税額は、千円未満を切り捨てた課税標準額に7.8%(軽減税率は6.24%)を掛けて求めます。この金額に1円未満の端数があれば切り捨てます。

7.8%は国税分の税率です。申告書で使う標準税率7.8%、軽減税率6.24%の区分は、本則課税の納付税額の計算で整理しています。

課税仕入れに係る消費税額も1円未満を切り捨てる

課税期間ごとの課税仕入れに係る消費税額は、原則として、課税仕入れに係る支払対価の額の合計に110分の7.8(軽減税率は108分の6.24)を掛けて求めます。1円未満の端数は切り捨てます。

売上対価の返還等に係る消費税額と、貸倒れに係る消費税額も、1円未満の端数があれば同じく切り捨てます。返品や値引きの調整は、返品・値引き・リベートの消費税で扱っています。

納付額は100円未満、還付は1円未満を切り捨てる

課税標準額に対する消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額などを差し引いた税額に100円未満の端数があれば、切り捨てます。納付する額は100円単位になります。

還付になる場合は扱いが違います。還付金に相当する消費税額の1円未満は切り捨てますが、還付金が1円未満のときは1円とします。

  • 納付額の100円未満の切捨ては、差引後の税額に対して行う。仕入側の税額の途中で100円単位に丸めない。
  • 還付の場合は100円未満の切捨てではなく、1円未満の切捨て。

計算例:税込の売上と仕入から納付額まで

標準税率の取引だけがある事業者の例です。課税期間の税込の課税売上げが5,432,100円、税込の課税仕入れが3,210,555円とします。

手順計算結果
課税標準額(税抜に戻す)5,432,100円×100/110=4,938,272円4,938,272円
千円未満を切り捨てる4,938,272円の1,000円未満を切捨て4,938,000円
課税標準額に対する消費税額4,938,000円×7.8%385,164円
課税仕入れに係る消費税額3,210,555円×7.8/110=227,657.5…円227,657円(1円未満切捨て)
差引385,164円-227,657円157,507円
納付すべき消費税額157,507円の100円未満を切捨て157,500円

この例の金額は説明用に置いたものです。実際の申告では、売上と仕入を税率ごとに分けて同じ手順を行います。

申告書の書き方は本則課税の消費税申告書の書き方、簡易課税の申告書は簡易課税の消費税申告書の書き方で確認できます。

適格請求書の端数処理は税率ごとに1回

申告書の端数が切捨てに固定されているのに対し、適格請求書に書く消費税額等の端数処理は任意です。国税庁は、1円未満の端数が生じるときは、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があると案内しています。

切上げ、切捨て、四捨五入のどれを使うかは、事業者が決められます。ただし、個々の商品ごとに消費税額を計算して端数処理し、その合計を請求書に書くことは認められません。

方法計算(税抜155円の商品3点・税率10%)可否
税率ごとに合計して1回処理(切捨て)465円×10%=46.5円→46円認められる
税率ごとに合計して1回処理(切上げ)465円×10%=46.5円→47円認められる
商品ごとに切上げ、その合計を記載15.5円→16円、16円×3点=48円認められない

端数の処理方法を決めたら、取引先ごとに揃えておくと請求書と帳簿の差が出にくくなります。請求書の記載事項は適格請求書(インボイス)の書き方で整理しています。

令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間は、飲食料品の譲渡について消費税率が引き下げられます。国税庁は、端数計算のページでもこの案内を出しています。取引の税率は飲食料品の消費税率1%と4月1日をまたぐ取引の税率で確認できます。

まとめ

  • 課税標準額は税抜に戻した金額の千円未満、消費税額と課税仕入れ側の税額は1円未満、納付額は100円未満を切り捨てる。
  • 還付金は1円未満を切り捨て、1円未満の還付は1円になる。
  • 切捨ては申告書の決まりで、選べない。
  • 請求書の消費税額等は税率ごとに1回だけ端数処理し、方法(切上げ・切捨て・四捨五入)は選べる。
  • 商品ごとに端数処理した額の合計を請求書に書くことはできない。

次に知りたいこと

公式情報

よくある質問

消費税の課税標準額は何円未満を切り捨てますか?
税込の課税売上げの合計を税抜に戻した金額の、1,000円未満を切り捨てます(出典:国税庁タックスアンサーNo.6371)。
消費税の納付額は100円未満が切り捨てになりますか?
課税標準額に対する消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額などを差し引いた税額に100円未満の端数があるときは、切り捨てます(出典:国税庁)。
消費税の還付金に端数があるときはどうなりますか?
還付金に相当する消費税額の1円未満は切り捨てます。還付金が1円未満のときは1円とします(出典:国税庁)。
請求書の消費税額は切り捨てでないといけませんか?
いいえ。適格請求書の消費税額等の端数処理は、切上げ、切捨て、四捨五入のいずれでも構いません。ただし、一の適格請求書につき税率ごとに1回で行います(出典:国税庁)。
商品ごとに消費税を計算して請求書に合計を書いてもよいですか?
認められません。個々の商品ごとに消費税額等を計算して端数処理し、その合計を記載する方法は、国税庁が認めないと案内しています。
本記事について。税理士監修前の概説です。取引ごとの扱いは契約内容や経理処理で変わるため、申告前に税務署または税理士へ確認してください。