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労働者派遣事業の許可の法人成り|資産要件と申請費用

派遣事業を個人で営んでいる人が法人成りするときの許可の扱いを、厚生労働省の資料で整理します。資産要件(基準資産額2,000万円・現預金1,500万円)、申請手数料12万円と登録免許税9万円、廃止届の期限を確認します。

厚生労働省のよくある質問と許可の手引きで確認
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

労働者派遣事業を個人で営んでいる人が法人成りするとき、法人で派遣事業を行うには、法人が許可を申請します。厚生労働省の資料には、個人の許可を法人へ引き継ぐ手続は示されていません。

派遣事業の許可は、申請前に資産の額を確かめる必要があるのが特徴です。この記事では、法人で申請するときの要件と費用、個人側の廃止届を順に確認します。

許可は法人が新たに受ける

労働者派遣事業は、厚生労働大臣の許可を受けて行います。許可を受けるのは事業主であり、個人事業主とその人が設立する法人は別の主体です。

厚生労働省の許可後の手続の資料には、法人の合併や分割で許可を持たない法人が事業を引き継ぐ場合は新規の許可申請が必要だという定めがあります。個人から法人への引継ぎを認める記載は、確認した資料にはありませんでした。

許可証については、自己の名義で他人に派遣事業を行わせてはならないとされています。法人を設立しても、個人名義の許可証のまま法人が派遣を始めることはできません。

資産要件と設立直後の申請

厚生労働省のよくある質問では、財産的基礎の要件として次の3つが示されています。いずれも派遣事業を行う事業所の数をかけた額が基準です。

要件1事業所の場合
基準資産額(資産から負債を引いた額)2,000万円以上
基準資産額と負債の関係負債総額の7分の1以上
自己名義の現金・預金1,500万円以上

基準資産額の資産には、繰延資産と営業権を含めません。事業所を2か所にすると、基準資産額は4,000万円、現金・預金は3,000万円が目安になります。

法人成りで注意したいのは、判定が法人の財産で行われる点です。設立後に最初の決算期を終えていない法人は、法人設立時の貸借対照表を添付します。そのため、個人事業の預金のままでは法人の数字に入らず、資本金などとして法人へ入れておく必要があります。

年次決算で要件を満たさない法人は、公認会計士または監査法人の監査証明を受けた中間決算または月次決算で確認できる場合があります。ただし、これを使えるのは基準資産額か現金・預金が増えるときです。

資本金の決め方は法人の資本金の決め方で整理しています。

そのほかの許可要件

資産のほかにも、厚生労働省の許可基準には次の要件があります。

  • 事業所の面積:派遣事業に使える面積がおおむね20㎡以上あること。
  • 派遣元責任者:申請の受理の日前3年以内に派遣元責任者講習を受けた人を置くこと。
  • キャリア形成支援制度:教育訓練の計画やキャリアコンサルティングの相談窓口など、厚生労働大臣が定める基準を満たす制度を持つこと。
  • 個人情報の管理:派遣労働者の個人情報を適正に管理し、秘密を守る措置を講じていること。

欠格事由もあります。法人の場合は、法人と役員が対象で、禁錮以上の刑や労働関係法令の違反による罰金刑から5年を経過していない役員がいると許可を受けられません。役員になる人が当てはまらないかを、設立前に確かめてください。

申請先・費用・期間

申請書類は、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出します。新規許可に必要な費用は次のとおりです。

費用金額
申請手数料12万円+5万5千円×(事業所数−1)
登録免許税許可1件あたり9万円
更新の手数料5万5千円×事業所数(更新に登録免許税はかからない)

1事業所なら新規許可の費用は手数料12万円と登録免許税9万円の合計21万円、3事業所なら手数料23万円と登録免許税9万円の合計32万円です。

期間について、厚生労働省のよくある質問は、申請から許可までに最短で3か月程度かかり、許可日は原則として毎月1日付けだと案内しています。許可の有効期間は、初回が3年、1回更新した後は5年です。更新は有効期間の満了日の3か月前までに申請します。

個人の廃止届

個人として行っていた派遣事業をやめるときは、廃止の日の翌日から10日以内に、すべての事業所の許可証を添えて、労働者派遣事業廃止届出書(様式第8号)を事業主管轄の労働局へ提出します。この期限は個人にも法人にも同じです。

税務署への廃業届は別の手続きです。書き方は廃業届の書き方で整理しています。

法人の許可が下りるまでは法人名義で派遣を始められず、個人の営業をやめる日とずれると空白期間ができるおそれがあります。この間の派遣契約の扱いは、資料からは確認できませんでした。管轄の労働局の需給調整事業担当課室へ、申請前に相談してください。

法人成りの進め方

  1. 派遣元責任者になる人の講習を受け、役員が欠格事由に当たらないか確かめる。
  2. 資本金を決めて法人を設立し、基準資産額と現金・預金が事業所の数に応じた額を超える状態にする。
  3. 事業所の面積、キャリア形成支援制度、個人情報の管理の体制を整える。
  4. 主たる事務所の管轄労働局へ、法人名義で新規許可を申請する(手数料と登録免許税)。
  5. 許可が下りたあとに、法人名義で派遣を始める。個人の事業をやめるときは、10日以内に廃止届を出す。

ほかの許認可の引き継ぎ可否は個人事業の許認可は法人成りで引き継げるかにまとめています。

よくある質問

個人の派遣事業の許可は、法人成りしたあとも使えますか?
厚生労働省の資料に、個人の許可を法人へ引き継ぐ手続は示されていません。許可証は自己の名義で他人に派遣事業を行わせてはならないとされているため、法人は自分の名義で新規に許可を受けます。
新規許可にはいくらかかりますか?
1事業所なら申請手数料12万円と登録免許税9万円で、合計21万円です。事業所が増えると、1か所ごとに手数料が5万5千円加わります。
設立したばかりの法人でも申請できますか?
設立後に最初の決算期を終えていない法人は、法人設立時の貸借対照表を添付して申請します。基準資産額2,000万円以上、現金・預金1,500万円以上などの要件を、その時点の法人の数字で満たす必要があります。
個人の廃止届はいつまでに出しますか?
廃止の日の翌日から10日以内に、許可証を添えて労働者派遣事業廃止届出書を提出します。

まとめ

  • 個人の許可を法人へ引き継ぐ手続は資料になく、法人が新規に許可を受ける。
  • 基準資産額2,000万円・現金預金1,500万円(1事業所)を、法人の財産で満たす。
  • 新規の費用は手数料12万円と登録免許税9万円。許可まで最短で3か月程度かかる。
  • 個人の事業をやめるときは、翌日から10日以内に廃止届を出す。

次に知りたいこと

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本記事について。税理士・社会保険労務士の監修前のプロトタイプによる整理です。許可の手引きは年ごとに改訂されるため、申請前に管轄の都道府県労働局で最新の要件を確認してください。出典:厚生労働省。