法人設立後のe-Tax・eLTAX利用開始|開始届出書・利用届出・電子証明書の準備
国税のe-Taxと地方税のeLTAXは、利用者番号の取得先も電子証明書の要否も別です。法人用の開始届出書の提出先、利用者識別番号と利用者IDの取り方、電子証明書の選び方、大法人の電子申告義務の線引きを公式情報で整理します。
e-Tax・eLTAX法人で電子申告を使うには、国税のe-Taxと地方税のeLTAXを別々に利用開始する必要があります。e-Taxは「開始届出書」を税務署へ出して利用者識別番号(16桁)を取り、eLTAXは「利用届出(新規)」を出して利用者IDを取ります。
e-Taxの利用者識別番号とeLTAXの利用者IDは、別々の窓口で取る別の番号です。税理士に電子申告を任せる場合に不要になるものもあるため、自分で送信するかどうかを先に決めて読み進めてください。
e-TaxとeLTAXの開始手続き(別々に届け出る)
e-Taxは国税(法人税・消費税・源泉所得税など)、eLTAXは地方税(法人事業税・法人都道府県民税・法人市町村民税など)の電子申告システムです。運営も番号も別なので、一方で取った番号がもう一方で使えるわけではありません。
| 項目 | e-Tax(国税) | eLTAX(地方税) |
|---|---|---|
| 最初の手続き | 開始届出書(法人用)の提出 | PCdesk(WEB版)での利用届出(新規) |
| 取得する番号 | 利用者識別番号(半角16桁)と暗証番号 | 利用者ID |
| 届出の相手 | 納税地を所轄する税務署長 | 電子申告する先の地方公共団体(税目ごとに届出) |
| 電子証明書 | 法人代表者の電子証明書で電子署名(税理士による代理送信を除く) | 自分で送信するなら必須、税理士に依頼するなら納税者側は不要 |
設立時に出す届出書の全体像は法人化の手続きと法人設立後の地方税の届出で整理しています。本記事は、その後に電子申告を始めるための手続きに絞ります。
e-Taxの開始届出書(法人用)の出し方
e-Taxの利用者識別番号を開始届出書で取得する方法では、開始届出書を納税地を所轄する税務署長に提出(送信)し、利用者識別番号を取得します。国税庁の「開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」では、個人用・法人用などの届出書をWEB上で作成して送信でき、利用者識別番号と暗証番号が即時に通知されます。
法人の提出先は、本店が法人税の納税地、支店は各税法の納税地です。支店等の分は本店の開始届出書とは別に提出する必要があります。暗証番号は、利用者識別番号を取得または更新したときに登録する半角英数字8文字以上50文字以内のものです。
開始届出書は、e-Taxを使うための共通の手続きです。手続ごとに改めて提出する必要はありません。また、国税庁は令和7年9月25日に「ID・パスワードの新規発行停止」を告知し、令和7年10月1日からID・パスワード方式の新規発行を停止しています。
初めてe-Taxを使う方がマイナンバーカード方式の利用手続きをする場合は、開始届出書の提出は不要と国税庁は案内しています。法人代表者のマイナンバーカードを使う場合の扱いは、e-Taxの最新の案内で確認してください。
eLTAXの利用届出(新規)と利用者ID
eLTAXで地方税の電子申告・電子納税をするには、eLTAX対応ソフトウェアが必要です。初めて使う場合は、地方税共同機構のPCdesk(WEB版)で利用届出(新規)を行い、利用者IDを取得します。
提出先の地方公共団体で内容確認などの受付が行われ、完了すると「手続き完了通知」メールが届きます。利用届出を行った時点で利用者IDは有効になっており、完了通知メールを受け取る前でもeLTAXを使えます。送信結果の画面には手続き状況の確認に必要な情報が出るため、印刷して保管するよう公式が案内しています。
すでに利用者IDを取得している場合は、IDを取り直す必要はありません。ただし、電子申告をするには提出先となる全ての地方公共団体に対して対象税目を届け出ている必要があり、新たに届け出るときはPCdeskなどから利用届出(変更)を行います。本店のほかに他の都道府県・市区町村へ事務所を置く法人は、届出先が増える点に注意してください。
電子証明書は誰のものを用意するか
e-Taxで法人が申告・申請データを送信するときは、法人の代表者の電子証明書で電子署名をして送信します(税理士による代理送信を除く)。マイナンバーカードまたはスマートフォンのマイナンバーカード以外では、商業登記認証局が発行する電子証明書と、その他の民間認証局等が発行する電子証明書が使えます。
- 電子委任状を添付すれば、委任を受けた法人の役員または職員の電子署名で送信することもできる(e-Tax)。
- eLTAXの利用できる電子証明書には、商業登記に基礎を置く電子認証制度の電子証明書、公的個人認証サービスの電子証明書のほか、民間認証局の電子証明書が複数挙げられている(一覧は公式ページで確認)。
- eLTAXでMacOSを使う場合は、公的個人認証サービスに基づく電子証明書のみ利用できる。
- 電子証明書がICカードに組み込まれている場合は、ICカードリーダライタが別途必要になる。
eLTAXの公式ページは、税理士に申告書等の作成・送信を依頼している納税者は電子証明書が不要で、自分で電子申告を行う場合は必須と案内しています。eLTAXでは、税理士に送信を任せるなら納税者側の電子証明書は不要です。e-Tax側の扱いは税理士の関与の形で変わるため、依頼先の税理士に確認してください。
電子証明書の種類・有効期間・費用は発行元ごとに異なります。取得方法は取得予定の認証局へ確認してください。
大法人の電子申告義務はどこから対象か
資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度の法人事業税・法人都道府県民税などの申告を、eLTAXで提出しなければなりません。大阪府の案内では、事業年度開始の時の資本金等で判定し、電子申告がなされない場合は不申告として取り扱うとされています。
| 項目 | 公式に示されている内容(大阪府の案内) |
|---|---|
| 対象法人 | 事業年度開始の時に資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人、相互会社、投資法人、特定目的会社 |
| 対象税目 | 法人都道府県民税、法人事業税、特別法人事業税 |
| 対象の書類 | 確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書と添付書類 |
| 適用開始 | 令和2年4月1日以後に開始する事業年度分 |
この表は、大阪府が公表した地方税の義務化の説明に基づく整理で、国税の扱いは含みません。設立時や増資で資本金が1億円を超える見込みがある場合は、国税庁と所在地の都道府県の案内を両方確認してください。資本金の決め方は法人の資本金の決め方で扱っています。
利用開始のチェックリスト
- 電子申告を自社で送信するのか、税理士に任せるのかを決めたか
- e-Taxの開始届出書(法人用)を本店分、支店等がある場合は支店分も提出したか
- 利用者識別番号と暗証番号を控え、再提出すると過去の申告内容が見られなくなることを共有したか
- 自社で送信する場合、法人代表者の電子証明書(またはマイナンバーカード)を準備したか
- PCdesk(WEB版)で利用届出(新規)を行い、利用者IDと送信結果を保管したか
- 届出先の地方公共団体と対象税目が、設立後に増えた事務所分まで含まれているか
- 資本金が1億円を超える場合、eLTAXでの申告が義務になることを確認したか
申告期限や延長の特例は法人税・消費税の申告期限延長の特例、決算申告の全体の流れは法人の決算申告を参照してください。
まとめ
- e-Tax(国税)とeLTAX(地方税)は別々に開始し、番号も届出先も別になる。
- e-Taxは開始届出書(法人用)を所轄税務署へ出し、16桁の利用者識別番号を取得する。支店等は別に提出する。
- 開始届出書を提出し直すと過去の申告内容が確認できなくなる。忘れたときは変更等届出書を使う。
- eLTAXはPCdesk(WEB版)で利用届出(新規)を行い、利用者IDを取得する。完了通知メール前でも使える。
- 自社で送信するなら法人代表者の電子証明書が必要。eLTAXは税理士に依頼するなら納税者側は不要。
- 資本金1億円超の法人は、法人事業税などの申告がeLTAXで義務になる。
公式一次情報
- e-Tax「開始(変更等)届出書作成・提出コーナーについて」(開始届出書の提出先、法人の本店・支店の扱い、利用者識別番号と暗証番号、再提出の注意を掲載。2026-10-01確認)
- e-Tax「ご利用の流れ」(利用者識別番号の取得から送信結果の確認までの流れ、新たに番号を取得した場合の旧番号の扱いを掲載。2026-10-01確認)
- e-Tax「法人が利用可能な電子証明書には、法人代表者のマイナンバーカード等以外に何がありますか」(法人代表者の電子署名、商業登記認証局・民間認証局の電子証明書、電子委任状を掲載。2026-10-01確認)
- e-Tax「ID・パスワードの新規発行停止について」(令和7年9月25日掲載のお知らせ。2026-10-01確認)
- eLTAX「利用者IDの取得」(PCdesk(WEB版)での利用届出(新規)、完了通知メール前でも利用できること、利用届出(変更)を掲載。2026-10-01確認)
- eLTAX「電子証明書の準備」(税理士に依頼する納税者は電子証明書が不要であること、利用できる電子証明書の種類を掲載。2026-10-01確認)
- 大阪府「大法人の電子申告の義務化について」(資本金1億円超の法人の対象税目、対象書類、適用開始事業年度、不申告の扱いを掲載。2026-10-01確認)
よくある質問
- e-Taxを始めれば、eLTAXも使えるようになりますか?
- 使えません。e-Taxは開始届出書で利用者識別番号を、eLTAXは利用届出(新規)で利用者IDを、それぞれ別に取得します。
- e-Taxの開始届出書は、どこの税務署に出しますか?
- 法人の本店分は、法人税の納税地を所轄する税務署です。支店は各税法の納税地が提出先で、本店の開始届出書とは別に提出が必要と国税庁が案内しています。
- 開始届出書を出し直すと何が起きますか?
- すでに利用者識別番号を取得している方が再提出すると、これまでe-Taxで提出した申告等の内容を確認できなくなると国税庁が案内しています。番号や暗証番号を忘れたときは変更等届出書を提出します。
- eLTAXの利用者IDは、完了通知メールが届くまで使えませんか?
- 公式の案内では、利用届出を行った時点で利用者IDは有効になっており、手続き完了通知メールを受け取る前でも利用できます。
- 税理士に頼めば電子証明書は要りませんか?
- eLTAXでは、税理士に申告書等の作成・送信を依頼している納税者は電子証明書が不要と案内されています。e-Taxでも税理士による代理送信は法人代表者の電子署名の対象外とされていますが、実際の扱いは依頼先の税理士に確認してください。
- 資本金1億円を超えると何が変わりますか?
- 法人事業税・法人都道府県民税などの申告は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度分からeLTAXでの提出が義務になります。電子申告がなされない場合は不申告として扱われると大阪府は案内しています。