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会社の解散の訴え(会社法833条)の要件|議決権の10分の1以上の株主が請求できる場合

株主総会で解散が決まらなくても、一定の株主は裁判所に会社の解散を求められます。会社法833条の請求できる株主の持分、認められる2つの場合、訴えの手続きと、判決が確定したあとの流れを条文で整理します。

会社法
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

株式会社の解散は、ふつう株主総会の特別決議で決めます。ところが、株主どうしで意見が割れて決議が通らないとき、少数の株主には裁判所に解散を求める訴えという道があります。

根拠は会社法833条です。請求できるのは議決権または発行済株式の10分の1以上を持つ株主で、「やむを得ない事由」と、条文の定める2つの場合のどちらかが必要です。決議による解散は会社の解散決議の要件で扱っています。

請求できる株主は10分の1以上を持つ人

会社法833条1項は、次のどちらかを満たす株主が、訴えで株式会社の解散を請求できると定めています。

  • 総株主の議決権の10分の1以上を持つ株主(株主総会で決議できる事項の全部について議決権を行使できない株主は、分母から除きます)
  • 発行済株式の10分の1以上を持つ株主(自己株式は分母から除きます)

どちらか一方を満たせば足ります。定款でこの割合を10分の1より低く定めた場合は、その低い割合が基準です。

議決権の割合は種類株式と議決権・配当の設計で変わります。株式を複数人で持つ場合の扱いは相続で共有になった株式の議決権にあります。

認められる2つの場合とやむを得ない事由

833条1項は、次の2つの場合に、やむを得ない事由があるときに限って訴えを認めています。

号場合
1号業務の執行において著しく困難な状況に至り、会社に回復することができない損害が生じ、または生じるおそれがあるとき
2号会社の財産の管理または処分が著しく失当で、会社の存立を危うくするとき

条文は、2つの場合に当たるだけでなく、「やむを得ない事由」があることも求めています。10分の1以上の株式を持っているだけでは、訴えは認められません。

やむを得ない事由があるかは、会社の状況ごとに裁判所が判断します。この記事は条文の要件までを扱い、個別の事案が当たるかどうかは判断しません。

訴えの手続き(被告・裁判所・担保)

解散の訴えは、会社法の「会社の組織に関する訴え」の1つです。条文で決まっている主な点は次のとおりです。

  • 被告は、解散を求められる会社です(会社法834条20号)
  • 訴えは、会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄です(同835条1項)
  • 被告の会社は、原告の株主に相当の担保を立てるよう、裁判所に申し立てられます。申立てには、訴えの提起が悪意によるものであることの疎明が必要です(同836条1項・3項)

担保を立てる必要があるかは、被告の申立てがあったときに裁判所が決めます。

合同会社などの持分会社の場合

合同会社などの持分会社では、833条2項により、やむを得ない事由があれば、社員が訴えで解散を請求できます。株式会社のような10分の1以上の持分の要件や、1号・2号の場合の限定はありません。

被告は、解散を求められる持分会社です(会社法834条21号)。通常の解散は総社員の同意が要るため、社員の間で意見が割れたときの道として残されています。合同会社の登記は合同会社の解散・清算結了登記を見てください。

判決が確定したあとの流れ

請求を認める判決が確定すると、会社は解散します。株式会社は471条6号、持分会社は641条7号が、解散を命ずる裁判を解散の事由に挙げています。

  • 判決の効力:請求を認める確定判決は、訴訟の当事者以外の第三者にもその効力が及びます(会社法838条)
  • 解散の登記:裁判所書記官が、本店の所在地を管轄する登記所に、職権で登記を嘱託します(同937条1項1号リ)。会社が自分で解散の登記を申請する通常の解散(926条)とは異なります
  • 清算:解散した株式会社は、清算をします(同475条1号)。ただし、解散の訴えの判決で解散した株式会社の清算人は、取締役が当然になるのではなく、裁判所が利害関係人もしくは法務大臣の申立てにより、または職権で選任します(同478条3項)
  • 会社の継続:株主総会の決議で会社を継続できるのは、存続期間の満了・定款で定めた解散事由・株主総会の決議で解散した場合です(同473条)。解散を命ずる裁判で解散した場合は、この対象に含まれません

清算の流れは法人解散から清算結了までの流れに、清算人の役割は清算人とはにまとめています。継続の決議については解散した株式会社の会社継続を参照してください。

公式一次情報

  • e-Gov法令検索「会社法」(第471条・第473条・第475条・第478条・第641条・第833条・第834条・第835条・第836条・第838条・第937条)(2026-10-30確認)

まとめ

解散の訴え以外に、持株の割合で使える株主の権利は少数株主の権利を持株割合で整理にまとめています。

会社法833条の解散の訴えは、議決権または発行済株式の10分の1以上を持つ株主が、裁判所に会社の解散を求める手続きです。業務の執行が著しく困難になって回復できない損害が生じるおそれがある場合か、財産の管理・処分が著しく失当で会社の存立を危うくする場合に、やむを得ない事由があるときだけ認められます。

認める判決が確定すると会社は解散し、登記は裁判所書記官が嘱託し、その後は清算に進みます。次に知りたいことは、会社の解散決議の要件、法人解散から清算結了までの流れ、共同創業の出資比率と議決権です。

よくある質問

株主総会で解散が決まらないとき、裁判所に解散を求められますか?
一定の場合は求められます。議決権または発行済株式の10分の1以上を持つ株主は、業務の執行が著しく困難になって回復できない損害が生じるおそれがある場合などに、やむを得ない事由があるとき、訴えで解散を請求できます(会社法833条1項)。
解散の訴えを起こせる株主の持株割合はどれくらいですか?
総株主の議決権の10分の1以上、または発行済株式の10分の1以上です。どちらか一方を満たせば足り、定款でこれより低い割合を定めた場合はその割合になります(会社法833条1項)。
合同会社でも解散の訴えはできますか?
できます。持分会社では、やむを得ない事由があれば、社員が訴えで解散を請求できます(会社法833条2項)。株式会社のような持分の割合の要件はありません。
解散の訴えは、どこの裁判所に起こしますか?
被告は解散を求められる会社で(会社法834条20号・21号)、その会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄です(同835条1項)。
解散の判決が確定したあと、会社を続けられますか?
会社法473条の継続の対象は、存続期間の満了・定款で定めた解散事由・株主総会の決議で解散した場合です。解散を命ずる裁判で解散した場合は含まれません。
本記事について。税理士・司法書士の監修前の概説です。解散の訴えに当たるかどうか、担保の要否などは、会社の状況や裁判所の判断で変わります。実際に訴えを検討するときは、弁護士へ確認してください。