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通勤手当の消費税の扱い

従業員に支給する通勤手当は、通勤に通常必要な範囲なら課税仕入れになります。所得税の非課税限度額を超えていても同じで、帳簿だけで仕入税額控除ができます。

消費税
編集:個人事業主のお金ラボ編集部 / 運営方針・出典

従業員や役員に支給する通勤手当は、給与でありながら、通勤に通常必要と認められる部分は消費税の課税仕入れになります。従業員は適格請求書発行事業者ではないため請求書はもらえませんが、一定の事項を記載した帳簿だけを保存すれば、仕入税額控除ができます。

  • 通勤手当のうち通勤に通常必要な部分は、課税仕入れの支払対価の額として扱われます(国税庁インボイスQ&A問108)。
  • 所得税で非課税になる金額を超えているかどうかは問われません(消費税基本通達11-6-5)。
  • 通勤定期券などの現物で支給した場合も含まれます(国税庁確定申告書等作成コーナーの案内)。

通勤手当が課税仕入れになる範囲

消費税基本通達11-6-5は、帳簿のみで控除できる通勤手当を「通勤者につき通常必要であると認められる部分」としています。通勤に必要な交通機関の利用や交通用具の使用の費用に充てるものとして支給した場合に、その通勤に通常必要と認められる金額です。

国税庁の確定申告書等作成コーナーの案内では、通勤定期などの現物による支給も含め、通勤のために通常必要とする範囲内の通勤手当は課税仕入れになると説明されています。

通勤手当の仕入税額控除は、給与だからできない、とはなりません。通常必要な範囲の金額は、課税仕入れとして扱われます。

所得税の非課税限度額との関係

所得税では、電車やバスだけで通勤する場合、非課税となる限度額は最も経済的かつ合理的な経路で通勤した場合の定期券などの金額です。1か月あたり15万円が上限で、それを超える部分は給与として課税されます(国税庁No.2582)。

消費税は別の判定です。国税庁Q&A問108は、通勤に通常必要と認められるものであればよく、所得税法施行令第20条の2の非課税となる通勤手当の金額を超えているかどうかは問わないとしています。

税目見るポイント非課税限度額との関係
所得税(支給を受ける人)限度額までは非課税、超える部分は給与として課税限度額で決まる
消費税(支給する会社)通勤に通常必要と認められる部分は課税仕入れ超えているかは問わない

通勤手当の所得税の非課税限度額は、法人成りで通勤手当を非課税にする距離区分を見てください。

請求書なしで控除できる条件

インボイス制度では、仕入税額控除に原則として適格請求書の保存が必要です。ただし、従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当)は、適格請求書の交付が困難な取引として、帳簿のみの保存で控除できます(消費税法30条7項、消費税法施行令49条1項1号、消費税法施行規則15条の4第3号)。

  • 帳簿のみの保存で足りるのは、通勤に通常必要と認められる部分の金額です。
  • 帳簿に書く事項は、国税庁Q&A問110で確認できます。
  • 支給の方法は、定期券の購入費用を渡す形でも、現金を渡す形でも、通常必要な範囲であれば同じ扱いです。

出張旅費や日当の消費税は出張旅費規程と日当の非課税の範囲で整理しています。海外出張は原則として課税仕入れにならないため、海外出張の旅費・日当の経理で確認してください。

計算例

従業員5人に、月額1万5,000円の通勤手当を12か月支給した例です。税率は10%、1年間の合計はすべて通勤に通常必要な範囲とします。

項目金額
1年間の通勤手当の合計(税込)15,000円 × 12か月 × 5人 = 90万円
仕入税額控除の対象となる消費税額90万円 × 10/110 = 約8万1,818円

課税売上割合が95%未満などで一部しか控除できない課税期間は、この金額がそのまま控除されるわけではありません。控除額の仕組みは仕入税額控除の要件で確認できます。

簡易課税・免税事業者の場合

簡易課税を選んでいる課税期間は、実際の課税仕入れ額ではなく、課税売上高に事業区分ごとのみなし仕入率をかけて仕入れに係る消費税額を計算します。そのため通勤手当を課税仕入れとして集計する必要はありません。簡易課税の仕組みは、簡易課税制度の解説で確認できます。

消費税の納税義務がない免税事業者も、仕入税額控除を受けないため、この扱いは関係しません。

通勤手当のほか、給与に近い支払いの課税区分は消費税の課税・非課税・不課税・免税の違いで確認できます。

よくある質問

通勤手当は給与なので、消費税の課税仕入れにならないのですか?
通勤に通常必要と認められる部分は、課税仕入れに係る支払対価の額として扱われます(国税庁インボイスQ&A問108、消費税基本通達11-6-5)。
所得税の非課税限度額を超える通勤手当は、消費税でも対象外ですか?
対象外にはなりません。通勤に通常必要と認められるものであればよく、所得税法施行令第20条の2の非課税となる金額を超えているかどうかは問いません(国税庁インボイスQ&A問108)。
従業員から請求書をもらう必要はありますか?
通常必要と認められる通勤手当は、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます(消費税法30条7項、消費税法施行規則15条の4第3号)。
簡易課税でも通勤手当を課税仕入れとして集計しますか?
簡易課税はみなし仕入率で仕入れに係る消費税額を計算するため、実際の課税仕入れ額の集計には使いません。

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公式一次情報

本記事について。税理士監修前の概説です。個別の取引は条件によって扱いが変わるため、実際の申告は税務署や税理士へ確認してください。出典:国税庁。