法人住民税の法人税割|税率(標準7.0%)と計算例
法人住民税のうち、利益に応じてかかる法人税割の仕組みを整理します。課税標準は法人税額で、標準税率は道府県民税1%と市町村民税6%の合計7%です。東京23区の税率、端数処理、複数の市町村に事務所がある場合の按分、架空の計算例を載せています。
法人化(法人成り)法人住民税は、赤字でもかかる均等割と、利益に応じてかかる法人税割の2本立てです。法人税割は、法人税額に税率をかけて計算します。利益そのものではなく、法人税の計算が終わった後の税額が出発点になります。
この記事は法人税割の税率、課税標準、計算の順序を扱います。均等割は法人住民税の均等割、税金全体の負担率は法人の実効税率を見てください。
法人税割とは(課税標準は法人税額)
法人税割は、法人住民税のうち法人税額を課税標準とする部分です。地方税法は、道府県民税を23条1項4号、市町村民税を292条1項4号で、それぞれ「法人税額」を基準にすると定めています。
ここでいう法人税額は、法人税法などで計算した法人税の額です。租税特別措置法の試験研究費の税額控除など、一部の税額控除を受ける前の額を使い、法人税の延滞税や加算税は含みません(地方税法292条1項4号イ)。国税の地方法人税の額とは別のものです。
法人税額が0円の赤字法人は、法人税割も0円になります。ただし均等割は赤字でもかかります。
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税率(標準税率と上限)
税率は地方税法に標準税率と上限が書かれています。
| 区分 | 標準税率 | 上限(制限税率) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 道府県民税の法人税割 | 1% | 2% | 地方税法51条1項 |
| 市町村民税の法人税割 | 6% | 8.4% | 地方税法314条の4第1項 |
| 合計 | 7% | 10.4% | 上の2行の合算 |
標準税率は、自治体が条例で税率を決めるときの標準です。実際の税率は納税地の条例で決まるため、事務所のある自治体の税率表で確認してください。
税率は、法人税額の課税標準の算定期間の末日現在の税率を使います(51条2項、314条の4第2項)。事業年度の途中で条例が改正されても、期末日の税率で計算します。
東京23区の税率と不均一課税
東京23区の法人は、道府県民税と市町村民税の相当分を、東京都がまとめて法人都民税として課税します。東京都主税局は、令和元年10月1日以後に開始する事業年度の法人税割の税率を、次のように案内しています。
| 区分 | 税率 | 内訳 |
|---|---|---|
| 標準税率(不均一課税の適用法人) | 7.0% | 道府県民税相当1.0%+市町村民税相当6.0% |
| 超過税率 | 10.4% | 道府県民税相当2.0%+市町村民税相当8.4% |
標準税率が使えるのは、資本金または出資金が1億円以下で、法人税額が年1,000万円以下の法人です。判定は事業年度終了の日の現況によります。事業年度が1年未満のときは、法人税額の基準が「1,000万円×事業年度の月数÷12」になります。
それ以外の法人には超過税率が適用されます。小規模な法人成り直後の会社は、多くの場合は標準税率の側に入ります。
計算の順序と端数処理(架空の例)
計算の順序は、法人税額を1,000円未満切り捨て、税率をかけ、確定する税額の100円未満を切り捨てる流れです(地方税法20条の4の2第1項・3項)。
法人税額が1,234,567円、標準税率の自治体(道府県民税1%・市町村民税6%)とします。
- 課税標準:1,234,567円 → 1,000円未満を切り捨てて1,234,000円
- 道府県民税の法人税割:1,234,000円×1%=12,340円 → 100円未満を切り捨てて12,300円
- 市町村民税の法人税割:1,234,000円×6%=74,040円 → 100円未満を切り捨てて74,000円
- 法人税割の合計:86,300円(このほかに均等割が別にかかります)
同じ法人税額で、東京23区の超過税率10.4%の場合は、1,234,000円×10.4%=128,336円で、100円未満を切り捨てて128,300円です。税率が3.4ポイント違うと、この例では4万円あまり差が出ます。
税額の見込みは法人成りシミュレーターでも確認できます。表示は概算で、実際の税額は申告書で確定します。
複数の市町村に事務所があるとき
2つ以上の市町村に事務所や事業所を持つ法人は、法人税額を関係する市町村に分けます。分けるときの基準は、算定期間の末日現在の従業者数です(地方税法321条の13第1項・2項)。分けた額を課税標準として、市町村ごとに法人税割を計算します。
算定期間の途中で新設した事務所は、従業者数に月数の割合をかけた数を従業者数とみなします(同条3項1号)。本店のほかに支店や営業所を増やすと、納付先と按分の計算が増えます。
事務所を増やしたときの届出は法人成り後の地方税の届出にまとめています。
申告期限と予定申告
法人の市町村民税は、法人税の申告書の提出期限までに、事務所のある市町村へ申告して納付します(地方税法321条の8第1項)。道府県民税も同じく法人税の申告期限に合わせます(53条1項)。申告期限の延長を受けたいときは、法人税と住民税で手続きが分かれるため、納税地の自治体に確認してください。
事業年度が6か月を超える法人は、中間申告にあたる予定申告もあります。予定申告の法人税割額は、前事業年度の法人税割額を基準に計算します(321条の8第1項かっこ書)。設立1期目の法人は前事業年度がないため、この計算の対象になりません。
法人事業税の予定申告は別のガイドにまとめています。
決算から申告までの全体の流れは法人の決算と確定申告で説明しています。
次に知りたいこと
まとめ
- 法人税割は、法人税額に税率をかける。課税標準は法人税額で、赤字なら0円。
- 標準税率は道府県民税1%と市町村民税6%で、合計7%。上限は合計10.4%。
- 東京23区は標準7.0%、超過10.4%。資本金1億円以下かつ法人税額年1,000万円以下なら標準税率。
- 課税標準は1,000円未満、確定税額は100円未満を切り捨てる。
- 複数の市町村に事務所があるときは、従業者数で法人税額を按分する。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「地方税法」(20条の4の2 端数計算、23条・292条 法人税額の定義、51条・314条の4 法人税割の税率、53条・321条の8 申告納付、321条の13 分割基準)
- 東京都主税局「法人事業税・法人都民税」(23区内の法人税割の税率、不均一課税の条件)
よくある質問
- 法人税割の標準税率はいくらですか?
- 道府県民税が1%、市町村民税が6%で、合計7%です。上限はそれぞれ2%と8.4%です(出典:地方税法51条1項・314条の4第1項)。
- 赤字でも法人税割はかかりますか?
- 法人税割は法人税額が基準のため、法人税額が0円なら0円です。ただし均等割は赤字でも納付が必要です。
- 東京23区の法人税割の税率は?
- 令和元年10月1日以後開始の事業年度は、標準税率が7.0%、超過税率が10.4%です。資本金1億円以下かつ法人税額年1,000万円以下の法人は標準税率です(出典:東京都主税局)。
- 法人税割の端数はどう処理しますか?
- 課税標準の法人税額は1,000円未満を切り捨て、確定する税額は100円未満を切り捨てます(出典:地方税法20条の4の2)。
- 支店が別の市にある場合、法人税割はどうなりますか?
- 法人税額を、算定期間の末日現在の従業者数で関係市町村に按分し、市町村ごとに計算して納付します(出典:地方税法321条の13)。
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