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法人成りと持続化補助金|交付決定後に法人化するときの登録事項変更届と提出書類

持続化補助金の交付決定を受けたあとに個人事業を法人化する場合の手続きを、補助金事務局の「補助事業の手引き」で確認できた範囲で整理します。提出する3種類の書類と、計画変更・財産処分との違いを分けて説明します。

補助金の手続き
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

小規模事業者持続化補助金は、申請した事業者が補助事業を行い、実績報告のあとに補助金を受け取る仕組みです。補助事業の途中で個人事業を法人化すると、補助金の相手方(個人事業主)がいなくなるため、事務局への届出が必要になります。

手引きでは、個人事業主が法人化する場合は「登録事項変更届」を出し、事務局が別途、要件審査を行うと定めています。この記事では、手引きの記載のうち確認できたものだけを書き、記載がない点は事務局への確認事項として切り分けます。

補助金そのものの要件・日程は小規模事業者持続化補助金(第20回)の要件・日程、補助金を受け取ったときの税の扱いは補助金・助成金にかかる税金で整理しています。

法人化したら出す届出は「登録事項変更届」

補助事業の手引き(第19回受付締切分・第3版・2026年7月29日)は、交付決定後に登録事項が変わるときは補助金事務局へ登録事項変更届を出すよう求めています。変更が必要な事項の例として、「個人・法人の別」「事業者名(社名)」「法人番号」「所在地」「代表者名」などが挙げられています。

個人事業主が法人化する場合は、事業者の同一性を確認するため、変更後の履歴事項全部証明書を添付します。あわせて、個人事業主が法人化等する場合は別途、補助金事務局で要件審査を行うと明記されています(手引き16ページ)。

要件審査で何を見るのか、審査にどれくらいかかるのかは、確認した手引き・公募要領には書かれていません。審査には期間がかかる場合があるため、法人設立日が決まった時点で、商工会または商工会議所の担当窓口へ早めに相談するのが安全です。

添付する3種類の書類

手引きには、「個人事業主が法人化する変更」の追加提出書類として、次の3点が挙げられています。

書類手引きの記載
法人化後の履歴事項全部証明書法人の登記事項。法務局で取得します
個人事業の廃業届個人事業を廃止したことを示す書類
営業譲渡契約書等任意様式。財産および事業の移行を確認できる書類

手引きの末尾には「その他追加書類の提出を求めることがあります」という注記があります。3点がそろっていても、事務局から追加資料を求められる可能性があります。

営業譲渡契約書は、個人事業の資産・契約を法人へ移すときに作る書類です。何を移したかは個人事業から法人への資産の引き継ぎで整理しているので、補助事業に使った設備やソフトウェアも漏れなく書けるようにしておきます。

変更承認申請(計画変更)とは別の手続き

手引きは、登録事項変更届とは別に、補助事業の内容や経費の配分を変えるときの「変更承認申請書」を定めています。軽微な変更を除き、原則として事前に承認を受ける必要があります。

法人化に伴って補助事業の内容や経費の配分も変わる場合は、登録事項変更届だけでは足りず、変更承認申請が必要になることがあります。手引きによれば、変更する事業の発注・申込・契約より前に申請して承認を受ける必要があり、承認されるまでは変更する事業を始められません。

  • 登録事項変更届: 事業者名・法人番号・所在地など、届出事項そのものが変わるとき
  • 変更承認申請: 補助事業の内容、経費の区分の配分、完了予定日が変わるとき

高額な機械装置等を法人へ移すときの注意

第20回の公募要領(第8版・2026年7月21日)では、単価50万円(税抜)以上の機械装置等は「処分制限財産」に当たるとされています。補助金の支払を受けたあとも一定の期間、補助事業の目的外の使用、譲渡、担保提供、廃棄等が制限されます。

処分制限期間内に処分するときは、事務局へ承認を申請し、承認を受けてからでなければ処分できません。承認なしに処分すると、交付取消・返還命令(加算金付き)の対象になります。ウェブサイトやシステムを50万円(税抜)以上で作った場合も、同じ扱いになることがあります(通常は取得日から5年間)。

国の補助金に共通する一般ルールとして、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第22条は、補助事業により取得した政令で定める財産を、各省各庁の長の承認を受けないで譲渡したり、交換したり、担保に供したりしてはならないと定めています。公募要領の処分制限は、この考え方にそった定めです。

手引き27ページは、個人事業者の法人成り等に伴う所有者変更について、「申請等を行っていただく必要がございますので、事前にご連絡ください」と定めています。あわせて、承継者は申請時点で公募要領が定める補助対象事業の要件を満たしている必要があるとされています。

取得財産の処分では、あらかじめ「取得財産の処分承認申請書」(交付規程・様式第12)を出して承認を受けるのが原則です。法人成りの所有者変更で、この申請書そのものが必要になるのか、別の申請になるのかは、手引きに書かれていません。50万円以上の機械装置等やウェブサイトがある場合は、移す前に事務局へ連絡して、必要な申請を確認します。

証拠書類の保存と引き継ぎ

手引きは、実績報告で提出する経費の証拠書類と同様の書類(原本)一式を、補助事業の完了年度の終了後5年間保存するよう求めています。事務局から照会があったとき、その書類を見ながら対応する前提です。

法人化で帳簿や契約書を個人から法人へ移すときも、この保存期間を守れるよう、補助事業の見積書・発注書・請求書・振込記録の原本を所在がわかる形で保管します。会計帳簿そのものの保存年数は法人の帳簿・書類の保存期間で別に整理しています。

法人成りの手続きとの順番

補助事業に関わる順番は、次のように整理できます。法人の設立登記、税務署・都道府県・市町村への届出は、通常の法人成りと同じです。

  1. 法人設立日を決め、持続化補助金の窓口(商工会・商工会議所)へ相談する
  2. 補助事業の内容や経費の配分が変わるなら、先に変更承認申請を出して承認を受ける
  3. 法人を設立し、履歴事項全部証明書を取得する
  4. 個人事業の廃業届と営業譲渡契約書等をそろえる
  5. 登録事項変更届に3点の書類を添えて補助金事務局へ提出する

個人事業の廃業・法人設立で税務署へ出す届出は法人成りの届出の提出先別一覧、全体の進め方は法人成りの手続き全体で確認できます。

補助金の対象になった事業の許認可や契約を引き継ぐ手続きも、法人側で必要です。個人事業の許認可の引き継ぎとあわせて、法人化のスケジュールに入れてください。

公式一次情報

よくある質問

交付決定後に法人成りしても、持続化補助金は受け取れますか?
手引きは、個人事業主が法人化する場合の手続き(登録事項変更届と追加書類の提出)を定めていますが、その場合に必ず補助金を受け取れるとは書いていません。事務局が別途、要件審査を行うとされているため、法人設立の前に窓口へ相談してください。
法人化のときに事務局へ出す書類は何ですか?
手引きでは、法人化後の履歴事項全部証明書、個人事業の廃業届、営業譲渡契約書等(任意様式で、財産および事業の移行を確認できる書類)の3点が挙げられています。事務局が追加の書類を求めることもあります。
登録事項変更届と変更承認申請は、どちらを出せばよいですか?
届出事項(事業者名・法人番号・所在地など)が変わるときは登録事項変更届、補助事業の内容や経費の配分を変えるときは変更承認申請です。法人化と同時に事業の内容も変わる場合は、両方が必要になることがあります。
補助金で買った機械を法人に移しても大丈夫ですか?
単価50万円(税抜)以上の機械装置等は処分制限財産で、期間内の処分には事務局の承認が必要です。手引き27ページは、個人事業者の法人成り等に伴う所有者変更について、申請等が必要なので事前に連絡するよう求めています。必要な申請の中身は、移す前に事務局へ確認してください。
申請前に法人成りする予定がある場合はどうなりますか?
今回確認した手引き・公募要領には、交付決定前の法人化の扱いは書かれていませんでした。申請の名義に関わるため、商工会または商工会議所の窓口に、法人設立の予定日を伝えて確認してください。

まとめ

  • 交付決定後に個人事業主が法人化するときは、登録事項変更届を補助金事務局へ出し、別途、事務局の要件審査を受ける。
  • 追加書類は、法人化後の履歴事項全部証明書・個人事業の廃業届・営業譲渡契約書等の3点(事務局が追加を求めることがある)。
  • 補助事業の内容や経費の配分を変えるなら、事前承認が必要な変更承認申請を別に出す。
  • 50万円(税抜)以上の機械装置等は処分制限財産。法人へ移す前に事務局へ確認する。
  • 証拠書類の原本は補助事業の完了年度の終了後5年間保存する。
本記事について。税理士監修前の概説です。持続化補助金の手続きは公募回ごとに手引き・公募要領が改訂され、法人化した場合の審査結果は個別の事情で変わります。実際の手続きは、管轄の商工会・商工会議所と補助金事務局にご確認ください。