会社の商号変更の登記と届出|2週間以内の登記と税務署・年金事務所
株式会社が社名(商号)を変えるときの手順を、決議、法務局への登記、税務署・年金事務所などへの届出の順に整理します。期限は登記が2週間以内、年金事務所が5日以内です。
会社法・届出の手続き商号は定款に必ず書く事項なので、変えるには定款の変更が要ります。その後に法務局で変更登記をし、登記が済んだら税務署や年金事務所などへ名称の変更を届け出ます。順番と期限を最初に押さえると、届出の漏れを防げます。
変更の全体の流れ
- 新しい商号を決める(使える文字や類似商号の考え方は株式会社の商号の決め方と同じです)。
- 株主総会で定款の商号を変更する決議をする。
- 変更の日から2週間以内に、本店の所在地を管轄する法務局へ変更登記を申請する。
- 登記の完了後、税務署・年金事務所・都道府県と市区町村の税務窓口などへ届け出る。
- 銀行・取引先・各種契約の名義を新しい商号に直す。
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定款変更の決議
株式会社は株主総会の決議で定款を変更でき(会社法466条)、商号変更の決議は特別決議にあたります(会社法309条2項11号)。特別決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で成立します(定款でこれより厳しく定めることもできます)。
株主が代表者1人だけの会社でも、決議をした事実を残す株主総会議事録は作ります。登記の申請では、この議事録が添付書類になります。
法務局での変更登記
会社の登記事項に変更があったときは、変更が生じた日から2週間以内に、本店の所在地で変更の登記をします(会社法915条1項)。商号は登記事項なので、商号の変更の効力が生じた日から数えます。
- 申請書は、法務局の「株式会社変更登記申請書(商号の変更)」の様式と記載例を使います。
- 登記には登録免許税がかかります。金額は申請時点の登録免許税法の別表で確認してください。
- 電子証明書を取得している会社は、商号変更の登記がされると証明書が失効します。必要な場合は管轄の登記所に再発行を相談します(法務省の案内)。
登記後の届出先と期限
登記が済んだら、次の窓口へ商号の変更を届け出ます。登記事項証明書の写しを求められることがあるため、証明書は多めに取っておくと手戻りを防げます。
| 届出先 | 届出書 | 期限 |
|---|---|---|
| 税務署 | 異動事項に関する届出書(商号又は名称の変更) | 異動後速やかに。提出先は異動前の納税地の所轄税務署長 |
| 年金事務所 | 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 | 事実発生から5日以内 |
| 都道府県税事務所・市区町村 | 異動届出書など(様式は自治体ごと) | 自治体ごとに異なる |
税務署:国税庁の案内では、商号の変更は「異動事項に関する届出」の対象で、添付書類はありません。この届出書の「消費税」の欄にレ印を付けて出せば、消費税の異動届出書や、インボイスの登録簿の登載事項変更届出書を別に出す必要はありません。
インボイスの登録事項を変える届出との違いは、インボイスの登録事項を変えるときで説明しています。
年金事務所:従業員がいて社会保険に加入している会社は、同じ年金事務所の管轄内で名称だけを変えるときも「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を、事実発生から5日以内に出します。登記より前に期限が来るため、登記の完了を待たずに準備しておきます。添付書類は本店移転・社名変更の社会保険の届出にまとめています。
都道府県・市区町村:法人事業税・法人住民税の窓口です。期限と様式は自治体によって違うので、本店所在地と事業所がある自治体のホームページで確認してください。
取引先・契約の名義変更で気をつけること
- 銀行:口座名義の変更は、銀行ごとに必要書類と手順が違います。登記事項証明書や代表者の本人確認書類が一般的ですが、取引銀行の案内で確かめてください。
- 請求書・領収書:変更後の請求書には新しい商号を書きます。インボイスに載せる名称も新しい商号に合わせます。
- 契約・許認可・知的財産:賃貸借契約、公共料金、許認可、商標などの名義は、自動では書き換わりません。商標権・特許権の名義変更のように、窓口ごとに手続きが別になります。
次に知りたいこと
株式会社の商号の決め方:使える文字と類似商号調査の考え方
代表取締役を変更するときの手続き:同じ異動届出書を使う、代表者交代の登記と届出の順番
本店移転登記:社名と本店を同時に変えるときの期限と費用
商標権・特許権の名義変更:旧商号で登録している権利の手続き
まとめ
- 商号は定款の記載事項なので、株主総会の特別決議による定款変更が必要。
- 変更登記は、変更の日から2週間以内に本店の所在地を管轄する法務局へ申請する。
- 税務署は異動後速やかに、年金事務所は事実発生から5日以内に届け出る。
- 税務署の届出書の「消費税」欄にレ印を付ければ、消費税とインボイスの変更届出書は別に出さなくてよい。
- 銀行・契約・知的財産の名義変更は、窓口ごとに別の手続きになる。
事業目的も同時に変える場合は事業目的の変更(定款変更)の手続きを、変更手続きを横に比べたいときは会社の変更手続き早見表を見てください。
公式一次情報
- e-Gov法令検索「会社法」(466条 定款の変更、309条2項11号 特別決議、915条 変更の登記)
- 法務局「商業・法人登記の申請書様式」(株式会社変更登記申請書〈商号の変更〉)
- 法務省「電子認証制度」(商号変更の登記と電子証明書の失効)
- 国税庁「異動事項に関する届出」(商号の変更、提出時期、提出先、消費税欄の扱い)
- 日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)」(事実発生から5日以内)
よくある質問
- 商号を変えるとき、株主総会は必ず開く必要がありますか?
- 商号は定款の記載事項で、定款の変更は株主総会の決議で行います(会社法466条)。株主全員が書面で提案に同意すれば、総会を開かずに決議があったものとみなす方法もあります(会社法319条)。いずれの場合も、決議の内容は議事録(または同意の書面)に残します。
- 商号変更の登記はいつまでにする必要がありますか?
- 変更が生じた日から2週間以内です(出典:会社法915条1項)。
- 税務署への届出は、登記が終わってからで間に合いますか?
- 国税庁の案内では、異動後速やかに、異動前の納税地の所轄税務署長へ提出します。年金事務所は事実発生から5日以内と短いので、先に準備しておくと安全です。
- インボイスの登録事項の変更届出書も別に出す必要がありますか?
- 税務署の異動届出書の「消費税」欄にレ印を付けて提出すれば、登録簿の登載事項変更届出書を重ねて出す必要はありません(出典:国税庁「異動事項に関する届出」)。
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