個人事業税の申告が不要な場合と、しなかった場合の扱い
申告義務の条件、確定申告でみなされる仕組み、未申告のときの決定・延滞金・過料を説明します。
2026年時点の制度個人事業税には、法律上の申告義務があります。ただし、所得税の確定申告か住民税の申告を済ませていれば、個人事業税の申告をしたものとみなされます。別に申告が必要になるのは、主に年の途中で廃業した場合や、どちらの申告も出していない場合です。
- 申告が必要な人は、事業の所得が事業主控除(年290万円)を超える人です。
- 確定申告か住民税申告をしていれば、個人事業税の申告は別に要りません。
- どちらも出していないと、都道府県が調べたうえで所得を決定し、課税します。
- 納期限に遅れると延滞金がかかります。
申告義務があるのは誰か
地方税法72条の55は、個人の事業税の納税義務者のうち、事業の所得が事業主控除の額を超える人に申告を求めています。事業主控除は年290万円で、事業を行った期間が1年に満たないときは月割りになります(地方税法72条の49の14)。
期限は原則として毎年3月15日です。東京都主税局の案内も、前年中の事業の所得などを3月15日までに申告するとしています。
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確定申告でみなされる仕組み
地方税法72条の55の2は、前年分の所得税の確定申告書か、住民税の申告書を出した場合、その申告書を出した日に個人事業税の申告があったものとみなすと定めています。
みなされるためには、申告書の「事業税に関する事項」の欄に必要事項を書く必要があります。東京都主税局の案内も、この欄に記入するよう求めています。
通常は、確定申告を済ませていれば、個人事業税のための手続きは増えません。アパートや駐車場の貸付だけの人は、貸している規模が基準に届くかどうかで課税の有無が分かれます(不動産賃貸・駐車場の認定基準)。
状況別の早見表
| 状況 | 個人事業税の申告 |
|---|---|
| 所得税の確定申告をした | 不要(「事業税に関する事項」欄は記入) |
| 確定申告は不要で、住民税の申告をした | 不要(同じく欄を記入) |
| 事業の所得が290万円以下(月割り後の額以下) | 申告義務なし |
| 年の途中で事業を廃止した | 廃止の日から1か月以内に別途申告(死亡の場合は4か月以内) |
| 確定申告も住民税申告も出していない | 申告が必要。出さないと都道府県が決定する |
廃業時の流れは個人事業の廃業手続きで整理しています。
申告していないとどうなるか
所得税の申告がなく、税務署も5月31日までに課税標準を決定しないときは、都道府県知事が調査して個人の事業の所得を決定し、事業税を課します(地方税法72条の50第2項)。申告しなかったからといって、課税されなくなるわけではありません。
確定申告で事業所得を雑所得などに分けて申告している場合も、都道府県が調査して所得を決定して課税することがあります(同条第1項ただし書)。
法律には、次の罰則の規定もあります。具体的な適用は事案ごとの判断になります。
| 場面 | 規定 |
|---|---|
| 正当な理由なく申告・報告をしない | 都道府県は条例で10万円以下の過料を定めることができる(72条の57)。実際の有無と金額は条例で異なる |
| 虚偽の申告・報告をした | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(72条の56) |
| 申告しないことで税の全部または一部を免れた | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方(72条の60第3項) |
手続きを忘れていただけの人が、すぐにこれらの対象になるとは限りません。条文上はこのような規定がある、という整理にとどめます。
課税される期間の限度と、申告が必要な場合の補足
地方税法17条の5は、更正または決定を、法定納期限の翌日から5年を経過した日以後はできないと定めています(第1項)。賦課決定は、同じく3年を経過した日以後はできません(第3項)。偽りその他不正の行為で税額を免れた場合は、7年を経過する日までできます(第7項)。
個人事業税のどの手続きにどの期間が当たるかは、事案ごとに都道府県が判断します。このページでは、条文上こうした期間制限があることだけを示します。「数年たてば課税されない」とは言い切れません。
| 場面 | 条文の定め |
|---|---|
| 申告先 | 事務所または事業所の所在地の道府県知事(72条の55第1項) |
| 2以上の道府県に事務所がある | 主たる事務所または事業所の所在地の道府県知事に申告する。従業者の数などもあわせて申告する(同条第3項) |
| 所得が事業主控除以下 | 申告の義務はない。ただし、一定の規定の適用を受けたいときは、3月15日までに任意で申告できる(同条第2項) |
| 追加で求められる報告 | 都道府県は条例で、賦課徴収に必要な事項の報告を求めることができる(同条第4項) |
任意の申告で何を受けられるかは、72条の49の12に定める繰越しなどの規定によります。内容は都道府県の案内で確かめてください。
納期限に遅れたときの延滞金
申告とは別に、納税通知書の納期限を過ぎると延滞金がかかります。大阪府の案内では、納期限の翌日から1か月を経過する日までは低い割合、その後は高い割合になります。令和8年中は、1か月以内が年2.8%、それ以降が年9.1%です。
割合は毎年見直されます。たとえば税額10万円の納付が30日遅れると、端数処理の前でおよそ230円です(10万円×30日×2.8%÷365日)。1か月を超えて遅れるほど、割合が上がる点に注意が必要です。
端数や少額の扱いは都道府県で異なる場合があります。大阪府の案内では、滞納額の1,000円未満は切り捨て、滞納額が2,000円未満なら延滞金はかかりません。
災害や生活扶助などの事情があるときは、税額の減免を申請できる場合があります。
通常の納期限は個人事業税の納付時期(8月・11月)で確認できます。
気づいたときの動き方
- 前年分の確定申告書か住民税の申告書を出したかを確認する。
- 出していれば、「事業税に関する事項」欄を書いたかを控えで確認する。
- 出していなければ、確定申告の期限後申告か住民税の申告を先に済ませる。
- 納税通知書が届いたら、納期限までに納める。
- 不明な点は、事務所または事業所のある都道府県の税事務所に問い合わせる。
個人事業税の対象業種そのものを確かめたい場合は、個人事業税の対象業種と税率が参考になります。
よくある質問
- 個人事業税の申告書は別に出す必要がありますか?
- 所得税の確定申告か住民税の申告を済ませていれば、原則として別に出す必要はありません。申告書の「事業税に関する事項」欄の記入は必要です。年の途中で廃業した場合は、廃止の日から1か月以内の申告が別に必要です。
- 個人事業税の申告をしないとどうなりますか?
- 税務署の決定がないときは、都道府県が調査して所得を決定し、課税します。正当な理由なく申告しない場合に、条例で10万円以下の過料を定められるとする規定もあります。
- 納期限を過ぎると延滞金はいくらですか?
- 大阪府の案内では、令和8年中は納期限の翌日から1か月を経過する日までが年2.8%、それ以降は年9.1%です。割合は毎年変わり、端数処理の扱いも都道府県で異なる場合があります。
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