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法人化を見送る条件のチェックリスト(利益水準・社会保険・赤字・固定費)

個人事業のままが有利になりやすい条件を、4つの項目に分けて数字つきで確認します。

令和8年度・東京・公式一次ソース準拠
編集:個人事業主のお金ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

法人成りは、利益が一定の水準を超えたときに有利になりやすい一方、利益が小さい年や赤字の年は、法人側の固定費が手取りを押し下げます。ここでは個人事業のままが有利になりやすい条件を、利益水準・社会保険・赤字・設立と維持の固定費の4項目で確認できるようにします。

1. 年間利益の水準

判断に使うのは年商ではなく、経費を引いた後の年間利益です。当サイトの試算(東京・単身・40歳未満・青色申告特別控除65万円・個人事業税5%の仮定)では、年間利益が400万円前後までは、法人側合計が個人本人の手取りを上回りません。
年間利益参考差(法人側合計−個人本人)
300万円−8.5万円(個人本人が多い)
400万円−1.8万円(ほぼ均衡)
500万円+8.3万円

法人側合計には会社に残る内部留保が含まれ、本人が使える手取りではありません。したがって、差がプラスの利益水準でも、本人が使えるお金の比較では結論が変わることがあります。

交差する利益額の読み方は法人化の比較額は年間利益いくらで交差する?、利益別の一覧は所得別・法人成りの損益分岐点にあります。

2. 社会保険の負担

法人の事業所は、事業主だけの場合を含め、健康保険・厚生年金の強制適用事業所です。役員が被保険者になるかは、会社での労務提供と報酬から判定します。役員報酬を月50万円(年600万円)にすると、協会けんぽ・厚生年金保険料の合計は年間約170万円(本人・会社それぞれ約85万円)です(東京都・40歳未満・令和8年度料率の機械計算)。

個人事業主のときの国民健康保険・国民年金と違い、会社負担分が丸ごと加わります。役員報酬を低く抑えて社会保険料を減らす方法は、報酬の決め方の制約とあわせて確認が必要です(役員報酬の決め方)。社会保険の切り替えの手続きは法人成りの社会保険で整理しています。

3. 赤字・利益の波

法人住民税には所得割とは別に「均等割」があり、赤字でも負担が生じ得ます。東京都23区内に事務所があり、資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の場合は年額7万円(月あたり約5,833円)が一例です。個人事業主にはこれに相当する固定費がありません。

利益が年によって大きく上下する事業では、利益の少ない年に固定費だけが残ります。税率の表と月割の計算は法人住民税の均等割、欠損金の繰り越しは欠損金の繰越控除で確認できます。

4. 設立と維持の固定費

会社の設立には登録免許税、株式会社では定款認証手数料などがかかり、総額は定款の作成方法、資本金、専門家への依頼で変わります。法定費用と任意の代行費用を分けて見積もります(合同会社と株式会社の違い)。維持の面では、決算・申告、源泉所得税、社会保険の事務が加わります(法人の決算・申告)。

事業をやめるときの費用にも差があります。個人事業主の廃業届は無料ですが、株式会社の解散・清算では、登録免許税が解散登記3万円・清算人選任登記9千円・清算結了登記2千円(合計4万1千円)かかり、官報公告料(会社等の各種公告は1行3,947円・税込)も必要です。詳しくは法人の解散・清算手続きと税務にあります。

見送りを検討するチェックリスト

次の4項目のうち、当てはまる数が多いほど、個人事業のままが有利になりやすい状況です。件数で自動判定するものではなく、当てはまる項目は法人化シミュレーターに自分の数字を入れて確かめてください。

項目見送りを検討する状態確認先
年間利益経費差引後の年間利益が400万円前後以下で、増える見込みが薄い損益分岐点
社会保険会社負担を含む年間の保険料(月50万円の報酬で約170万円)を払ったうえで、手取りの差が残らない社会保険
赤字・利益の波赤字や利益の少ない年が出る見込みがあり、年7万円(一例)の均等割が重い均等割
固定費設立費、決算・申告の事務、解散時の費用を、見込む利益の差で回収できないデメリット
金額は前提(所在地、資本金等、従業者数、報酬額、料率の年度)で変わります。他の給与や社会保険の加入先がある場合は、税理士と年金事務所へ計算条件を確認してください。

見送らない場合の次の一歩

4項目を確認して法人化を進める場合は、時期の判断を法人成りのタイミングを判断する4つの軸、全体像と手順を法人成り(法人化)完全ガイドで確認できます。見送る場合も、利益が増えたときに見直せるよう、個人事業主と法人の違い比較表を手元に置いてください。

公式情報

本記事について。税理士監修前の概算です。税務・社会保険の扱いは個別事情で異なります。実際の判断は税理士・年金事務所等へご確認ください。